パチンコやパチスロを楽しむ際には、激しい光、騒音、そして一部の店舗ではタバコの煙等に注意が必要だ。
特に激しい光を放つ液晶ディスプレイを長時間見続けることは、目や体、心に深刻な影響を与える可能性がある。今回は、私自身が体験した『VDT症候群』について書きたいと思う。

私のVDT体験談:突然の激しいめまい、吐き気、悪心、不安感
もう20年近く前のことだが、私は一時期、仕事もせずに毎日のようにパチンコやパチスロを打っていた。当時は、ある程度の技術と知識、豊富な種銭があれば、月50万以上稼ぐことも不可能ではなかったのだ。最近パチンコパチスロを始めた人には、到底理解できないだろう。
毎日、開店から閉店まで良釘狙い&高設定狙いの終日稼働を続けた。一月に一度も休まず、毎日12時間以上稼働したこともあった(今では絶対に無理だが、当時は若かった)。
最初に異変を感じたのは、ほとんど寝ずに次の日のイベントのために並び、お目当ての台をぶん回していた時だった。ふと盤面から目を離し通路を見た時、ごっそりと意識を刈り取られるような感覚に陥った。
そのまま倒れそうになったが、なんとか踏ん張って事なきを得た。体中冷や汗でベタベタだったのを今でも覚えている。
毎日長時間打っていたから目や体が疲れているのだろう、少し休めば治るはずだと思い、食事休憩をとって車で少し眠ることにした。最初は数十分横になっていれば元通りに戻ると軽い気持ちで考えていたのだが、体調はますます悪化していった。
体は異常にだるいのに目だけが冴えて眠ることができず、めまいはより悪化し、頭がぐるぐる回るような感覚(急性アルコール中毒に近い感じ)に陥った。悪心と耐え難い不安感(心臓が止まるような恐怖)に襲われた。
このまま死んでしまうのではないかと思ったが、パチンコ店の駐車場で死ぬのだけは嫌だと、気力を振り絞り友人に電話をかけ助けを求めた。友人は仕事を途中で切り上げ、急いで私の元に来てくれた。そして、動くことができない私を車に乗せ、MRI検査ができる病院に連れて行ってくれた(脳卒中等の脳の病気だと思ったらしい)。
検査の結果MRI、心電図他異常なし
病院に着くなり、緊急という事で優先的に検査をしてくれることになった。病院内にいるという安心感なのかは分からないが、なぜか症状は落ち着いていたのは不思議だった。
検査結果は異常なし。
脳も心臓も全く問題がなく、先生の見解は疲れからくる一時的なものだろうという事だったが、私はこんなに死にそうな症状が出たのに異常なしという事に全く納得できなかった。先生は困ったような顔をして「身体的な異常はないので、おそらく精神的なものでしょう。心療内科を紹介します」と言った。
当時は心療内科が脚光を浴び始めた頃で、体調が悪いのに身体面で問題がなければ、すぐに心療内科という時代だった(そして、うつは心の風邪などというキャッチコピーをつけて身近なもののようにイメージさせ、今では疑問が呈されている安易な薬物療法が行われていた)。
遊技中に症状が出始めた事、精神的に何にも追い詰められていない事から、精神的な問題はないと私は確信していた。脳や心臓にも問題はなく、精神的にもおそらく問題はない。パチンコもしくはパチスロが原因なのは予想できていたが、間違いなくこれだと言えるものはなかった。
その日はぐっすりと眠り、朝目が覚めた時には体調はほとんど回復していた(目が乾いていて異常に重い事を除けば)。ただ、遊技中にまた発作が起こってしまったらどうしようという恐怖で、パチンコ店に行こうという気持ちは全く起こらなかった。
答えは眼科にあり、謎のVDT症候群とは
私は生まれつき少し外斜視なので数年に一度眼科でプリズム眼鏡の処方箋を出してもらっている。
レンズにプリズムを組み込み、光を屈折させることにより線のずれを矯正することができる眼鏡。片眼は中心にあるが、もう片方の眼がずれているので視線が一致せず、両目で同時にものを見ることのできないという「斜視」や、眼の位置の異常はあるものの両眼視機能を獲得している状態である「斜位」の矯正に用いられる。
行きつけの眼科の先生とは十年来の付き合いで、診察そっちのけで世間話をする仲だ。今回の話題は、もちろん先日の発作についてだった。
パチンコを打っている時に発作が起こり、危うくパチンコ店の駐車場で死ぬところだったと笑いながら話した。先生は最初笑っていたが、ふと何かを思い出したようにうつむいた後、私の方を向いて聞いた事のない言葉をつぶやいた。
「もしかしたらVDT症候群かもしれない」
一瞬、下着のブランド名が頭をよぎったが、先生はすぐに何の略か教えてくれた。
「VDT症候群は、Visual Display Terminal Syndrome(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル・シンドローム)の略」
今でこそVDT症候群はテレビ等でも取り上げられるくらい有名な病気だが、20年ほど前には、多分ほとんど知られていない病気だったと思う。今振り返れば、先生は本当によく勉強されている方だったんだと感心する。
VDT症候群(ブイ・ディー・ティーしょうこうぐん、英語:Visual Display Terminal Syndrome)とは、コンピュータのディスプレイなど表示機器(総称して Visual Display Terminal、VDT と呼ばれる)を使用した作業(VDT作業ともいう)を長時間続けたことにより、目や体、心に支障をきたす病気のことである。別名テクノストレス眼症、IT眼症とも呼ばれる。
先生の説明を聞けば聞くほど、私の症状はVDTに違いないと確信を深めた。考えてみれば、パチンコ店にはVDTを引き起こす多くの要素が揃っている。
パチンコ店のVDT誘発要因
- 激しい光を放つパチンコ、パチスロの液晶ディスプレイ
- 液晶ディスプレイを目立たせるため、室内を暗く設定
- 10時間以上に渡る長時間の遊技(VDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないことを求めている)
- 長時間同じ姿勢で作業を行う(椅子の高さが調整できない場合は、より問題が大きい)
上記以外にも数多くの問題点があるが、特に問題なのはこれらだろう。
無論、この条件下でパチンコパチスロを遊技すれば、確実にVDTになるわけではない。私のように目が弱い人(斜視、乱視、近視、遠視等)や眼鏡・コンタクトが合っていない人、ドライアイの人等は、VDTを引き起こしやすいと言われている。
私のVDT予防方法
私の症状はVDTでほぼ確定的だったので先生とVDTの予防方法について相談した。
眼鏡や目薬、ホットアイマスクで目をケア
まず目に合った眼鏡を装着する事。これに関しては今までよりも短いスパンでレンズを変更する事にした。さらに科学的根拠がないため効果はほぼ期待できないが、気持ちが少し楽になるのでブルーライトカット効果の高いレンズにしている。
次にドライアイ対策。パチンコ店は空調がよく効いていて乾燥しすぎている為ドライアイになりやすいこれに関しては2種類の目薬で対応している。
・人工涙液型点眼剤
1つは人工涙液と呼ばれるタイプの目薬。私はソフトサンティアを使っているが、その他マイティアやロートソフトワン点眼液等がこれにあたる。他の目薬と違い涙に近い性質をしているので1~2時間に1回と多めだが安心して使える。
・ヒアルロン酸配合目薬


もう一つはヒアルロン酸ナトリウム配合の目薬。ヒアルロン酸ナトリウムは目の表面を保護して傷の治りを良くしたり、目に水分を保持して乾燥を和らげる作用が期待できる。
病院で処方されるヒアレイン点眼液が効果的だが、市販品ではロートドライエイドコンタクトなどがある。
休憩の徹底
連続遊技時間にも注意していて、約1時間遊技したら10分は目を閉じて休む時間を作っている。
長時間同じ座りっぱなしの姿勢にも大きな問題があるので、私は車でシートを倒し寝る形で休憩している。寝転べない人は5分目を閉じて休み、残り5分で歩くなどすればよいだろう。
休憩中に「めぐりズム」などのホットアイマスクを使用するのもおすすめだ。
肩こり対策
最後は肩こり対策(肩こりはVDTを誘発する)だが、私はパチンコパチスロを遊技する時には、必ず前もって湿布を肩や肩甲骨付近に貼っている。貼っていない時と比べて格段に違うのだ。
湿布を貼っていても厳しい場合は、葛根湯を飲むのも有効(これは個人差があると思うが、私には非常に効果的)。葛根湯は体を温め発汗を促したり痛みを抑える作用があり、特に葛根は首や肩のこりをとる作用が強い。心臓に不安があったり高血圧の人は主成分に麻黄(エフェドリン)が入っていない桂枝加葛根湯というものもある。
葛根湯は比較的副作用が少ない漢方薬といわれていますが、このエフェドリンは心臓や血管に負担をかける交感神経刺激薬なので、高血圧や心臓病、脳卒中既往など、循環系に疾患がある人は要注意。妊婦さんにも使うべきではないという意見もあります。
さらに磁気ネックレスも着用している。ブルーライトカット同様に科学的根拠は薄いが個人的には意外と効いている気がする。有名パチンコ・パチスロライターにも磁気ネックレス愛用者が多いが、彼らにとって肩こりは職業病のようなものだからだろう。

おわりに
たかがパチンコをするだけにここまでする必要はないと思う人も多いだろうが、VDTになったら本当に苦しい。あの苦しみは発作を体験した人にしか分からない。
メーカーやパチンコ店は、現在の遊技台及び遊技環境がVDTを引き起こす可能性が高いという事が分かっているのに、どうしてもっと遊技台や遊技環境を改良改善したり、客に対して注意喚起を行わないのか不思議だ。メーカーやパチンコ店は、客の健康状態よりも台が多く売れる事、より多くの貸し玉料を回収できる事の方が重要なのだろう。

メーカーは激しい光を放つ派手な透過演出や3D演出で客の関心を引こうと躍起になっている
パチンコパチスロを打っていて体調を崩した人は、一度VDT症候群を疑ってみて欲しい。VDTで苦しんでいる人は、私の想像よりもはるかに多いと思うから。
その他、私の推測だが、このVDT症候群とうつ病、頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)は密接な関係があるように思う。どれか一つに罹患すると、その他を誘発(罹患済なら重症化)しやすくなるのではと考えている。これらについても、また別の機会で書きたいと思う。








