誰もが知っている事だが、パチンコ店内の環境は健康にとって最悪だ。
法改正によりタバコ環境は大幅に改善されたが、二度と治らない難聴の原因となる騒音、身体や精神に異常をきたすVDT症候群を誘引する強い光など、健康リスクは今も残っている。
そして見落とされがちだが、パチンコ・パチスロを長時間続けることで深刻なリスクとなるのが糖尿病だ。


パチンコ客(特にパチプロ)の健康状態はボロボロ
VDT症候群の記事でも少し書いたが、私は以前一時的にパチンコパチスロで生活していた事がある(4号機スロットの頃)。
その頃は今とは比べものにならないくらい稼げた時代だったので、パチンコ生活者(いわゆるパチプロ・専業)がたくさんいた。ホール情報の共有や狙い台の調整の為に多い時は40人以上のパチプロとコミュニケーションをとっていたものだ。
5号機の初めに、私を含め1/3くらいが普通の仕事に就いたが、残りはそのままパチプロとして頑張っていた。今でもホールに行けば数名はいるので話をする事があるが、昔一緒に稼いでいたパチプロの内の1/3くらいはもう亡くなってしまった。30代や40代で夭逝した人も多い。
パチンコ生活が何らかの悪影響を与えたのは間違いないだろう。パチンコやパチスロを環境の悪いパチンコ店内で反復継続的に行うという事は、一般人が考えている以上に過酷なのだ。
亡くなった方に共通していたのは糖尿病
亡くなったパチプロの多くは2型糖尿病に罹患していた。
2型糖尿病とは日本の糖尿病患者の約9割を占めている病気で、インスリンの分泌が少なくなったり働きが悪くなる事で起こる。
主に中高年以降に罹患率が上がるといわれているが、最近は若年者の発症も増加しており、遺伝や食生活、喫煙、運動不足、ストレスなど様々な要因によって発症する。
糖尿病といえば中高年の男性で肥満の人の病気というイメージをもちますが、20~30代の若い世代ややせ型の女性にも増えています。糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの分泌量が少なくなってしまったり、効きが悪くなったりすることで血糖値が下がらなくなる病気です。
初期段階ではほとんど自覚症状がないため、気がついたときにはかなり病気が進行していることが多いのです。糖尿病になると、様々な代謝異常が起きて血管や内臓、骨や歯などがダメージを受け、重篤な合併症が起きやすくなります。
引用の中にある「初期段階ではほとんど自覚症状がない」という部分は、この記事全体で一番重要な一文だと思っている。
痛くも痒くもない時期が長く続き、気づいた時には進んでいる。だから体感を頼りにしていると間に合わない。
糖尿病の怖さは「合併症」
糖尿病になるだけで直接命に関わるわけではない。怖いのは合併症(糖尿病が原因になって起こる病気)だ。
三大合併症
- 糖尿病性網膜症 → 失明
- 糖尿病性神経障害 → 足の切断
- 糖尿病性腎症 → 人工透析
さらに糖尿病は動脈硬化を引き起こす事から、突然死の原因となる脳血管疾患(脳梗塞等)や虚血性心疾患(心筋梗塞等)の原因にもなる。若くして亡くなった人達の多くは、上記の脳血管疾患によるものだった。
パチンコ・パチスロは糖尿病のリスク要因が揃っている
考えてみればパチンコパチスロ遊技は糖尿病を発症する条件に事欠かない。
糖尿病リスクを高める要因
・不規則な食事
高設定や良調整の台を掴んだ時は食事もとらずにぶん回す人は多いだろう。だが朝食や昼食を抜くと、夕食や夜食の後の血糖値が異常に上昇する。高血糖は膵臓やβ細胞にダメージを与え糖尿病になりやすくなる。
・ストレス
ハマリによる精神的ストレスは血糖値を上昇させる。
・運動不足
運動習慣がないこと自体が、インスリンの働きを悪くし糖尿病のリスクを高める。これは昔から言われている通りだ。
・座りすぎ(運動不足とは別のリスク)
この記事を最初に書いた時、私は座りっぱなしを「運動不足」の一項目として扱っていた。長く座る=体を動かしていない=運動不足、という理解だ。
だが、これは正確ではなかった。
その後に積み上がった研究が示しているのは、長時間の座位が余暇の運動量とも肥満度とも独立して、心血管疾患による死亡や全死因死亡と関連しているということだ。「独立して」というのは、運動量の差では説明しきれない分が残る、という意味になる。
つまり、運動している人であっても、座っている時間そのものが別枠のリスクとして効いてくる。
正直に言えば、これは自分にとって都合の悪い話だった。私は2日に1回の筋トレと、できる限り毎日5km以上のランニングを続けている。だから座位の問題は自分にはあまり関係ないと思っていた。
公平を期して言えば、100万人以上のデータを統合した大規模な解析では、1日60〜75分の中強度の運動をしている最も活動的な層では、8時間以上座っていても死亡リスクの上昇が見られなかったと報告されている。
だから「運動では絶対にカバーできない」わけではない。より正確には、普通の運動量ではカバーしきれないということになる。毎日5km走るような人はその目安に近いところにいるが、そんな生活を全員に勧められるかというと難しいだろう。
そしてもう一つ、運動量では代替できない部分がある。食後だ。
血糖値は食べた後に上がる。その血糖を筋肉が処理するかどうかは、その時間帯に体を動かしているかで変わる。朝にどれだけ走っても、昼食後の5時間を座り続ければ、その5時間の代謝は座っていた人のものになる。
運動でカバーできる部分とできない部分がある。この二つを混ぜて「運動不足」の一言で片付けていたのが、当時の私の間違いだった。

・タバコ
主流煙や副流煙は糖尿病のリスクを高める。
・睡眠不足
イベント日の徹夜並びや、閉店まで打った後の帰宅による睡眠不足は、インスリンの働きを悪化させる。
これら全ての要因が、パチンコ・パチスロ遊技には揃っているのだ。

私のおすすめ健康管理
私は若い時にVDT症候群になった時から健康管理には非常に気をつかっている。
パチンコ店に行かない事が最も良い方法なのは分かっているが好きなのだから仕方ない。月に数回しかホールに行かない今でも、騒音やタバコ対策と同じくらい糖尿病対策もしているつもりだ。
食事と水分補給は必ず行う
どんな高設定、良調整の台を掴んでも食事と水分補給(できれば水かお茶。ジュースや砂糖入りコーヒーは1日1本まで)だけはしっかり行う。
加えて、食べた「後」が重要だ。
休憩所で食事を済ませ、席に戻ってそこから何時間も座り続ける。これは血糖の面では最も避けたい形になる。動くべき時間帯の直前に立ち上がって、動くべき時間帯に座っていることになるからだ。
食べ終わってすぐ台に戻らず、数分だけ店内を歩いてから戻る。あるいは食後の1〜2時間だけ、席を立つ間隔を短めにする。それだけでも違う。
1時間に数分は休憩
1時間に数分は打つのを止めて体を動かす。VDT対策にもなる。
これは以前は経験則として書いていたが、実験でも確認されている。長時間の座位を短い歩行で区切ると、食後の血糖とインスリンの上昇が2割以上抑えられたという試験がある。
重要なのは、速く歩く必要がないことだ。同じ試験でゆっくりした歩行とやや速い歩行を比べているが、効果に差はなかった。時速3km程度、つまりただの散歩で足りる。
ホールで10分おきに席を立つのは現実的ではないし、周りから見ても不自然だろう。40分から1時間に1回、トイレや飲み物のついでに数分歩く。それくらいで構わない。
運動習慣
2日に1回は筋トレ(面倒な人はプランクでもOK)をし、できれば毎日5km以上走る。
ただし前述の通り、これで座りすぎの分まで帳消しになるわけではない。運動は運動、座位は座位として、別々に対処する必要がある。
血糖値対策
サラシア茶で食後の血糖値の急上昇を抑える。詳しくは次の項で。
血糖値対策にサラシア茶
サラシア茶はインドやスリランカなどに生えているサラシアという植物の根を使ったお茶だ。
含まれている成分がαグルコシダーゼという消化酵素の働きを妨げ、炭水化物が糖に分解されるのを遅らせる。これはアカルボースやボグリボースといった糖尿病の治療薬と同じ系統の作用で、だからこそ「食事の前に飲む」という使い方に意味がある。
サラシア茶の特徴
- 食事の前に飲むことで、食後の血糖値の急上昇を抑える
- 作用の仕組みは糖尿病治療薬(αグルコシダーゼ阻害薬)と同じ系統
- 2型糖尿病患者を対象とした試験では、食後血糖の上昇が14〜22%抑えられたという報告がある
- 一方、HbA1cのような長期の数値への効果は、あったとしても小さい
- 効果には個人差がある
私も毎日の食事前には必ず飲むようにしている。私がサラシア茶を勧めたパチプロの中には、パチンコを打つ時にもペットボトルに入れて飲んでいる人もいる。
飲む前に知っておいてほしいこと
分解されなかった糖が腸内で発酵するため、お腹が張る、ガスが出る、下痢をするといった副作用が出る人がいる。これは効き方の裏返しのようなもので珍しい話ではない。
10時間近く狭い椅子に座り続けるホールで初めて試すのは、いろいろな意味で得策ではない。まずは自宅で少量から試してほしい。
また、糖尿病の薬をすでに服用している人は同じ系統の作用が重なることになるので、必ず医師に相談してから使ってほしい。
高いものは数万円とするが、私が飲んでいるのは1キロも入っていて5000円程度なので、煮出す手間さえ惜しまなければ普通のお茶より安い値段で買える。
まとめ
パチンコやパチスロを健康に楽しむ為には、自分で自分の体を守らなければいけない。法改正によりタバコ環境は大幅に改善されたが、糖尿病のリスク要因は今も変わらず存在している。
そして今回書き加えた通り、座りっぱなしは運動不足とは別のリスクだ。走っているから大丈夫、というわけにはいかない。
以下の症状が頻繁に出るようなら、糖尿病の可能性があるので早めに対策しないと手遅れになってしまう。
- 手足のしびれ
- のどの渇き
- 疲れやすい
- 目の調子が悪い
- 食事中に異常に汗をかく
- 食後の強烈な眠気
これらの症状が複数当てはまる場合は、早めに医療機関を受診することを強くおすすめする。
ただし忘れないでほしいのは、これらの症状が出ていないことは何も起きていない証拠にはならないということだ。初期段階には自覚症状がない。症状を待ってから動くのでは遅い。
いきなりいろいろな事をするのは難しくても、健康管理の為にできる事をしていって欲しい。
参考文献
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- Ekelund U, et al. Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? A harmonised meta-analysis of data from more than 1 million men and women. Lancet. 2016;388(10051):1302-1310.
- Williams JA, et al. Extract of Salacia oblonga lowers acute glycemia in patients with type 2 diabetes. Am J Clin Nutr. 2007;86(1):124-130.
- Siribaddana S, et al. The Effect of Salacia Reticulata Extract Biscuits on Blood SugarControl of Type 2 Diabetes Mellitus Patients. Cureus. 2023;15(9):e45921.
- 日本人は糖尿病にかかりやすい – サワイ健康推進課
- 【森のこかげサラシア茶】安さの理由や作り方、飲む際の注意点


