随分昔の話だが、あるホールのリフレッシュオープンの日、私は根拠を持って選んだ「ニューパルサーDX CC」の角台に座っていた。
前日・前々日のデータ、店の癖、イベントの傾向。いろいろなことを考慮した上での選択だった(はずだった)。

結果、わずか150枚で私はその台を捨てた。
理由は「なんとなく小役の落ちが悪かった」「他に気になる台があった」という、今思えば糞みたいな理由だ。
その後どうなったかというと、ふらっと座ったおっちゃんが100枚程でBIGを引き、最終的には7000枚のお持ち帰り。閉店後に見たデータから推定した小役確率は明らかに高設定の数値だった。
あの日から私は考え続けた。「見切り」と「粘り」、どちらが正しかったのか?
その答えは意外なほどシンプルかつ残酷。「日による」のだ。
全ては「事前確率」で決まる

まず、残酷な現実を直視しよう。
ホールの設定配分(推定)
| 設定 | 通常営業 | イベント日 |
|---|---|---|
| 設定1 | 23.0% | 10.0% |
| 設定2 | 47.0% | 40.0% |
| 設定3 | 15.5% | 10.0% |
| 設定4 | 12.0% | 20.0% |
| 設定5 | 1.8% | 13.0% |
| 設定6 | 0.7% | 7.0% |
| 5・6計 | 2.5% | 20.0% |
これは、私があるジャグラーシリーズの設定判別ツールをつくる際に設定した「事前確率」だ。
通常営業(いわゆる平日)では、設定5・6の合計がわずか2.5%。40台あっても高設定は1台入っているかどうか。 一方、イベント日なら20%。5台に1台は高設定が期待できる。
この「スタート地点の違い」が全ての判断を左右する。 同じ台に座っても、同じデータを見ても、事前確率が違えば正解が変わるのだ。
同じ挙動なのに、判断が逆になる理由
では具体的に、同じ挙動でどれだけ判断が変わるのか。
マイジャグラー5を例にベイズ推定で計算してみた。なお、本記事の確率計算には私がベイズ推定をベースに自作したロジックを使用している。
挙動の定義
| 挙動 | BIG確率 | REG確率 | イメージ |
|---|---|---|---|
| 悪い | 1/300 | 1/450 | 設定1以下 |
| やや悪い | 1/280 | 1/400 | 設定1〜2 |
| 中間 | 1/260 | 1/300 | 設定3〜4 |
| 良い | 1/240 | 1/250 | 設定5相当 |
| かなり良い | 1/200 | 1/200 | 設定6上振れ |
1000G時点での高設定(5・6)確率
| 挙動 | BIG | REG | 通常営業 | イベント日 |
|---|---|---|---|---|
| 悪い | 3回 | 2回 | 0.8% | 4.8% |
| やや悪い | 4回 | 2回 | 1.0% | 9.0% |
| 中間 | 4回 | 3回 | 1.4% | 12.7% |
| 良い | 4回 | 4回 | 2.0% | 16.8% |
| かなり良い | 5回 | 5回 | 4.6% | 31.5% |
注目してほしいのは中間挙動だ。
通常営業なら1.4%、「ほぼ低設定」と言っていい。 イベント日なら12.7%、「8回に1回は高設定」だ。
つまり、全く同じデータでも、平日なら「ゴミ台」、イベント日なら「お宝台の可能性アリ」となる。
「数字」を見ているようで、実は「背景」を見なければならないのがパチスロの本質だ。
2000G時点での高設定(5・6)確率
| 挙動 | BIG | REG | 通常営業 | イベント日 |
|---|---|---|---|---|
| 悪い | 7回 | 4回 | 0.5% | 4.9% |
| やや悪い | 7回 | 5回 | 0.7% | 6.9% |
| 中間 | 8回 | 7回 | 2.3% | 18.2% |
| 良い | 8回 | 8回 | 3.5% | 24.6% |
| かなり良い | 10回 | 10回 | 8.9% | 43.2% |
3000G時点での高設定(5・6)確率
| 挙動 | BIG | REG | 通常営業 | イベント日 |
|---|---|---|---|---|
| 悪い | 10回 | 7回 | 0.3% | 3.2% |
| やや悪い | 11回 | 7回 | 0.4% | 3.6% |
| 中間 | 12回 | 10回 | 3.0% | 21.7% |
| 良い | 12回 | 12回 | 5.7% | 32.5% |
| かなり良い | 15回 | 15回 | 19.2% | 60.6% |
「3000G回せば分かる」とよく言われるが、これは半分正解で半分間違いだといえるだろう。
- かなり良い挙動で3000G → 信頼度が大幅に上がる(4.6%→8.9%→19.2%)
- 中間挙動で3000G → 何G回しても中間のまま(1.4%→2.3%→3.0%)
中間挙動の台を「もう少し回せば分かるかも」と粘っても、結局「やっぱり中間設定だった」で終わる可能性が高いのだ。
高設定を捨ててしまう確率
ここからが本題だ。
「見切り」をした時、実は高設定だった確率。言い換えれば「後悔する確率」、つまり「捨てた後にカマを掘られる確率」を見てみよう。
撤退した場合の「後悔確率」
| ゲーム数 | 挙動 | 平日に撤退→後悔確率 | イベント日に撤退→後悔確率 |
|---|---|---|---|
| 1000G | 中間 | 1.4%(71回に1回) | 12.7%(8回に1回) |
| 1000G | 良い | 2.0%(50回に1回) | 16.8%(6回に1回) |
| 1000G | かなり良い | 4.6%(22回に1回) | 31.5%(3回に1回) |
| 2000G | 中間 | 2.3%(43回に1回) | 18.2%(5〜6回に1回) |
| 2000G | 良い | 3.5%(29回に1回) | 24.6%(4回に1回) |
| 2000G | かなり良い | 8.9%(11回に1回) | 43.2%(2〜3回に1回) |
| 3000G | 中間 | 3.0%(33回に1回) | 21.7%(4〜5回に1回) |
| 3000G | 良い | 5.7%(18回に1回) | 32.5%(3回に1回) |
| 3000G | かなり良い | 19.2%(5回に1回) | 60.6%(2回に1回弱) |
- 平日に中間挙動で撤退 → 月に30回やっても1回後悔するかどうか。割り切れる。
- イベント日に中間挙動で撤退 → 8回に1回は後悔する。これは結構痛い。
あの日の私の150枚が、まさにこれだった。
イベント日に根拠ある狙い台を、ほぼノーデータで捨てた。後悔確率で言えば20%以上。5回に1回は高設定を捨てる愚行だったのだ。
実践的な判断基準

では具体的にどう立ち回ればいいのか。私の考える立ち回りはこうだ。
平日の立ち回り
| 挙動 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 悪い〜やや悪い | 即撤退 | 後悔確率1%以下、迷う必要なし |
| 中間 | 撤退 | 粘っても3%程度、時間の無駄 |
| 良い | 微妙、利確も選択肢 | 3〜6%では根拠として弱い |
| かなり良い | 粘る価値あり | それでも8〜19%、過信は禁物 |
「良い挙動」でも3〜6%。ほぼ低設定だ。
2000枚出たところで利確して勝ち逃げは、十分に合理的な選択と言える。

イベント日の立ち回り
| 挙動 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 悪い〜やや悪い | 撤退検討 | 5〜9%なら見切ってOK |
| 中間 | 3000Gまで粘る価値あり | 12〜22%の可能性が残る |
| 良い | 続行 | 17〜33%、期待できる |
| かなり良い | 安心して続行 | 31〜61%、離れる理由がない |
中間挙動でも12〜22%の高設定確率がある。これを捨てて別の台に移るなら、移動先にはそれ以上の根拠が必要だ。
しかし実際は…
- 良さそうな台はもう誰かが座っている
- 空いている台は「誰かが見切った台」。つまり、何かしらのマイナス要素があった可能性が高い
- 移動先の事前確率は今の台より下がることが多い
だから中間挙動でもある程度は粘る。それがイベント日の正解だと私は思う。

悪い挙動は別の話
ただし、これは中間挙動以上の話だ。
以前の記事で検証したように、REGもブドウも両方-2σ(明らかに悪い)なら、イベント日でも早期撤退が正解になる。
「粘る」と「見切る」は二律背反ではない。 状況に応じて使い分けるのが正しい立ち回りだ。

平日はオカルト解禁?
さて、ここまで数学の話をしてきたが、最後に少し気楽な話をしよう。
平日の設定配分をもう一度見てほしい。
| 設定 | 配分 |
|---|---|
| 設定1 | 23.0% |
| 設定2 | 47.0% |
| 設定3 | 15.5% |
| 1〜3計 | 85.5% |
優良店でも85%以上が設定1〜3。どこに座っても期待値は大して変わらない。
ならば、「好きなシリーズ」「好きな台番や場所」や「波」「直感」といったオカルトで選んでもOKだ。
平日に設定狙いをするのは「砂漠で砂金を探す」ようなもの。見つかる確率2.5%のゲームに全神経を集中させる意味があるだろうか。私はないと思う。
それなら、好きな台で好きなように打って、娯楽として楽しんだ方が健全だ。
| 平日 | イベント日 | |
|---|---|---|
| 台選び | フィーリングでOK | 根拠重視 |
| 粘り | 意味薄い | 移動先がなければ粘る |
| オカルト | 好きにやれ | 封印 |
| 目的 | 娯楽として楽しむ | 勝ちに行く |
「平日はオカルト解禁、イベント日は数学で勝負」
これが、数年間の失敗と検証から辿り着いた私なりの結論だ。
まとめ

最後に、この記事のポイントを整理しよう。
事前確率が全てを決める
- 平日:高設定確率2.5%(スタートからほぼ絶望)
- イベント日:高設定確率20%(勝負になる)
同じ挙動でも判断は逆になる
- 平日の中間挙動 → 高設定確率1〜3% → 撤退
- イベント日の中間挙動 → 高設定確率12〜22% → 粘る価値あり
「後悔確率」で考える
- 平日に中間挙動で撤退 → 33〜71回に1回の後悔(許容範囲)
- イベント日に中間挙動で撤退 → 5〜8回に1回の後悔(痛い)
実践的な基準
- 平日:超抜台以外は粘る意味なし、利確上等
- イベント日:中間以上なら3000Gまで見る、移動先がなければ粘る
「事前確率を意識し、日によって判断を変える」
これを知っているだけで高設定を捨てる確率は確実に減る。
そして、この考え方はジャグラーに限った話ではない。これはパチスロの立ち回りの本質だ。機種が変わっても、この原則は変わらない。
シーユーレーター、アリゲーター。🐊




