以前の記事「スマスロは体に悪い?メダル機との動作の違いや健康リスク」で、長時間座位による循環器リスクや下肢の血流悪化について触れた。今回はこの「座りすぎ」の問題を深掘りしたい。
パチスロを打つ人にとって、長時間座り続けることは避けられない。特に高設定狙いで朝から閉店まで打つようなスタイルなら、1日の座位時間は10時間以上、長ければ12時間を超えることもある。
上半身の問題については、肘の痛みにはアームスリーブ、肩こりには磁気ネックレスという対策を紹介してきた。しかし下半身については、まだ具体的な対策を書いていなかった。
肘の痛みや肩こりは生活の質に関わる問題だが、下半身の血流の問題はそれとは次元が違う。
研究データが示す通り、座りすぎは循環器疾患をはじめとする深刻な健康リスクと関連している。これまで紹介してきた対策の中で、最も注意すべきテーマだと思っている。
結論から言うと、カーフスリーブを履いて打つだけで下半身の疲労感はかなり変わる。
座りすぎはなぜ危険なのか
以前の記事「パチンコ・パチスロと糖尿病|長時間稼働が招く突然死のリスクと予防策」でも書いたが、長時間稼働を続けていた元パチプロの中には若くして命を落とした人が少なくない。座りすぎは決して他人事ではないのだ。
実際、2012年にシドニー大学が45歳以上の22万人を3年近く追跡した大規模調査では、衝撃的な結果が報告されている。
- 1日8〜11時間座る人は、死亡リスクが15%上昇
- 1日11時間以上座る人は、死亡リスクが40%上昇
他にも、座りすぎによって大腸がんのリスクが30%、乳がんのリスクが17%上昇するという研究結果もある。
なぜ座りすぎがこれほど危険なのか。
長時間座り続けると、太ももやふくらはぎの筋肉がほとんど動かない状態になる。ふくらはぎは「第2の心臓」とも呼ばれ、下半身の血液を心臓に送り返すポンプの役割を果たしている。
このポンプが止まることで血流が滞り、代謝が低下し、免疫力も落ちる。結果として、肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高まるとされているのだ。
パチスロは「座りすぎ」の条件が揃っている
座りすぎの健康リスクについて、デスクワーカー向けの情報は多い。しかしパチスロを打つ人の座位環境は、デスクワークよりもある意味で厄介だ。
椅子の高さが調整できないことが多い
オフィスチェアなら座面の高さやリクライニングを調整できるが、ホールの椅子は基本的にワンサイズ。自分の体格に合わない高さで何時間も打ち続けることになる。
立ち上がるタイミングが作りにくい
デスクワークなら自分のペースで休憩を取れるが、パチスロはそうはいかない。
高設定を掴んだら1Gでも多く回して期待値を稼ぎたいという人は多いし、AT中やボーナス連チャン中に離席したくないという人も多い。
座位時間が極端に長い
高設定狙いで朝一から閉店まで打てば10時間以上、地域や営業時間によっては12時間を超えることもある。
シドニー大学の調査で死亡リスクが40%上昇するとされた「11時間以上」を超えている可能性が高い。
メダル機とスマスロで違う「立ち上がる機会」
前回の記事で、メダル機の「無駄な動作」が実は健康を守っていたという話を書いた。下半身についても同じことが言える。
メダル機では、下皿がいっぱいになれば箱にメダルを移し、箱が満杯になれば持ち上げて棚に置き、新しい箱を取る。
逆に減っていれば箱から下皿にメダルを戻す。出たり減ったりを繰り返す中で、割と頻繁に立ったり座ったりする機会があった。そのほか、落としたメダルを拾うために屈んだり、計数機までメダルを運ぶこともある。
スマスロでは、これらの動作がすべて消える。結果、座ったまま何時間でも打ち続けることが物理的に可能になった。
パチンコもパーソナルやスマパチの普及で同じ方向に進んでいる。便利になればなるほど健康リスクが増えるというのは皮肉な話だ。
意識的に休憩を取ればいい話ではあるが、高設定を打っている時にわざわざ立ち上がる人は少ないだろう。1回転でも多く回す方が期待値は積み上がるのだから、自制するのは難しい。高設定狙いの場合、座ったままでもできる対策が必要になる。
その点、ハイエナは期待値のある台を探してホール内を歩き回るので、モラルはともかく健康面に関しては非常に優れた立ち回りだと言える(笑)
対策:カーフスリーブで下半身の血流を守る
なぜカーフスリーブが有効なのか
カーフスリーブは、ふくらはぎに段階的な圧力をかけるコンプレッションアイテムだ。
足首から膝下にかけて圧力が段階的に弱まる設計(段階着圧)になっており、これが止まってしまった「第2の心臓」のポンプ作用を外側から補助する。具体的には以下の効果が期待できる。
- 血行促進: 足の深部にある静脈を圧迫し、血液の流れを促す
- リンパ液の流れ改善: リンパの循環を促進し、老廃物の排出を助ける
- むくみの軽減: 静脈血やリンパ液のうっ滞によるむくみを緩和する
アームスリーブの記事で書いた、スマスロで失われた上半身の筋ポンプ作用をコンプレッションで補うという考え方と全く同じだ。アームスリーブが上半身なら、カーフスリーブは下半身。セットで使うことで、全身の血流をケアできる。
私は高設定狙いしかしないので、ホールに行く時は必ずカーフスリーブを着用している。履いた日と履かなかった日では、打ち終わった後の疲労感が明らかに違う。脚だけでなく、体全体の疲れ方が変わる。
特に違いを実感するのは、履き忘れた日だ。カーフスリーブなしで1日打つと、もう体がしんどくてたまらない。おっさんなので若い人とは事情が違うかもしれないが、逆に言えば年齢を重ねるほど効果を実感しやすいとも言える。
弾性ストッキングではダメなのか?
弾性ストッキング(メディキュット等)も原理は同じで、効果は十分期待できる。一般医療機器として効果効能の表示もされている。
ただ、パチスロを打つ人に正直におすすめできるかというと、微妙なところがある。
まず、履くのがめんどくさい。 弾性ストッキングは着圧が強い分、普通の靴下のようにスッと履けない。裏返してから少しずつ巻き上げるような履き方が必要になる。
それから、毎回洗濯が必要だ。 ソックスタイプは足裏まであるため、一回履くたびに洗濯しなければならない。ホールに行くたびにこれをやるのは、率直に言ってめんどくさい。
パチンカー・スロッターは基本的にめんどくさがりだ。 これは自分も含めてだが、少しでもハードルがあると続かない。健康対策は続けてこそ意味がある。
その点カーフスリーブは、足首から膝下までなので靴下の上からサッと履ける。足裏部分がないから毎回洗濯する必要もない。この「続けやすさ」が、パチスロ用途では最大のメリットだと思う。
もちろん、めんどくさくない人には弾性ストッキングも良い選択肢だ。特にメディキュットは安価で品質も高い。ただし、メディキュットの足首から膝下タイプは履き心地がカーフスリーブに比べるといまひとつで、個人的にはあまりおすすめしない。
おすすめのカーフスリーブ

ゴールドウインは3年以上使って結構ボロボロ
ザムスト カーフスリーブ
- 足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力を弱める段階着圧設計
- 伸縮性に優れた素材で、フィット感と耐久性が高い
- ずり落ちにくく長時間の着用でもストレスが少ない
- 値段もそこそこで、品質とのバランスが良い
- サイズ展開が豊富
ザムストはアームスリーブでも使ったことがあるが、アスリート御用達というだけあって、値段の割に質が高いメーカーだ。
カーフスリーブも同様で、派手さはないが堅実に作られている。パチスロ用途で最初に試すならこれで間違いない。
サイズ選びについては、ふくらはぎの最も太い部分の周囲を測る必要がある。少しめんどくさいが、着圧アイテムはサイズが合わないと効果が半減するので、ここは手を抜かない方がいい。
ゴールドウイン C3fit カーフスリーブ
- 一般医療機器として認定されており、むくみの改善・血行促進・リンパ液の流れ改善の効果効能が表示されている
- ナイロンベースの特殊素材でツルっとした着け心地
- 縫い目にスマートシーム加工を施し、肌面をフラットに仕上げている
- ザムストより高価だが、品質は高い
- サイズは身長基準で選べる(XS:150-165cm / S:160-175cm / M:165-180cm / L:170-185cm / XL:175-190cm)
ゴールドウインのC3fitシリーズは、コンプレッションアイテムの中でもトップクラスの品質だ。
一般医療機器の認定を受けているのも安心感がある。予算に余裕があるなら、こちらを選んでも後悔はしないだろう。
まとめ
私自身、若い頃は高設定を掴んだらトイレに行く時間すら惜しんで水分の摂取を減らしたり、食事を抜いたりと無茶をしていた。しかしVDT症候群になったことをきっかけに考えが変わった。今はお金より健康の方がはるかに大事だ。
カーフスリーブは、座っている間の血流をサポートする手軽な手段だ。ただし、これだけで座りすぎのリスクがなくなるわけではない。1時間に1回は立ち上がること、食事と水分補給をきちんと取ること、これらの基本は大前提だ。
立ち上がれない状況でも、座ったままつま先を上下に動かすだけでふくらはぎのポンプ機能が働くので、カーフスリーブと併用するとより効果的だろう。
パーソナルやスマパチの普及でパチンコも同じ状況になりつつあるので、パチンコメインの人にもカーフスリーブは有効だ。
アームスリーブで上半身、カーフスリーブで下半身、磁気ネックレスで肩首。全身をケアしながら、好きなパチンコ・パチスロを長く続けてほしい。
【参考文献】
- van der Ploeg HP, et al. “Sitting time and all-cause mortality risk in 222 497 Australian adults.” Arch Intern Med. 2012;172(6):494-500.
- Lin S, et al. Sedentary Behavior and Incident Cancer: A Meta-Analysis of Prospective Studies. PLoS One. 2014;9(8):e105709.





