以前の記事「スマスロは体に悪い?メダル機との動作の違いや健康リスク」では、スマスロの動作の単調さがもたらす健康リスクについて書いた。
今回は、その中でも特に多くの人が悩んでいるであろう「肘の痛み」と「腕のだるさ」に焦点を当てたい。
私自身、スマスロを打ち始めてから右肘の痛みと腕のだるさや疲れに悩まされるようになった。さらに、スマホを見ながら打つスタイルのせいで左肘にも別の痛みが出ている。
調べてみると、この「肘の痛み」には2つの異なる原因があり、「腕のだるさ」を加えた3つの症状が同時進行していることがわかった。そして、この3つすべてを軽減できるのがアームスリーブだ。
パチスロで起こる2種類の肘の痛み
パチスロを長時間打っていて肘が痛くなるという人は少なくないだろう。しかし、一口に「肘の痛み」と言っても、実は原因が異なる2種類の痛みがある。
私の場合、右利きでスマホは左手で見るスタイルなので、右腕と左腕で異なる痛みが出ている。
右腕はレバーやボタンの反復動作によるもの、左腕はスマホを見ながら肘置きに肘を立てておくことによるものだ。
①レバー・ボタンの反復動作による肘の痛み
パチスロを打つとき、ベットボタンを押し、レバーを叩き、ストップボタンを押す。この動作を1日に何千回と繰り返す。
ここで一つ試してみてほしい。手首を上にそらすと、肘の内側がピーンと張る感覚がないだろうか。
この張りは、手首から肘の内側(内側上顆)まで繋がっている屈筋群が引き伸ばされることで起こる。
レバーやベットボタンを上から叩く動作自体は、手首を曲げる方向(屈曲)の動きだ。しかし、叩いた瞬間の衝撃で手首が跳ね返され、反る方向(背屈)に強制的に持っていかれる。
つまり、叩くたびに肘の内側の屈筋群が瞬間的に引き伸ばされている。
自分の意志でゆっくりストレッチするのとは話が違う。衝撃による急激な引き伸ばしが、準備のできていない筋肉や腱に繰り返しかかる。これは「伸張性収縮(エキセントリック収縮)」と呼ばれ、通常の筋収縮よりもダメージがはるかに大きい。
これが1日数千回、週に何日も繰り返される。腱の付着部に微細な損傷が蓄積し、やがて炎症に至る。いわゆる「ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)」と同じメカニズムだ。
さらに、支えのない状態で何千回も肘を曲げたり伸ばしたりすること自体が、腱や関節に持続的な負荷をかけている。
特にスマスロの場合、前回の記事で書いた通り動作が極めて単調で、メダル機のような多様な動きがない。同じ角度、同じ力、同じ方向の繰り返しが、特定の部位にダメージを集中させる。
②肘置き圧迫による肘の痛み
もう一つの肘の痛みは、椅子の肘置きに肘を長時間押し付けることで起こる。
スマホを見ながら打つ人は特に要注意だ。私は常にスマホを見ながら打っているのだが、ある日インナーシャツの肘部分が破れていることに気づいた。

気になって他のシャツも確認すると、肘部分が明らかに他より傷んでいるものがいくつもあった。シャツの生地が破れるほどの圧力が何時間も肘の先端にかかり続けていたのだ。
外側にそれだけのダメージがあるなら、当然内側にも負荷がかかっている。
肘の先端には「滑液包」というクッションの役割を果たす組織があり、長時間の圧迫で炎症を起こす。いわゆる「肘頭滑液包炎」、通称「学生肘」だ。深部の神経にまでは達していなくても、この痛みはかなり強い。
この痛みはスマスロに限った話ではなく、メダル機でもスマホを見ながら打てば同じように起こる。
ただし、メダル機の場合はメダル投入の準備や下皿の整理で左手を頻繁に動かすため、肘を置きっぱなしにしている時間が短い。スマスロで左手はスマホを持っているだけ、という状況が一番リスクが高い。
スマスロで腕がだるくなる理由
肘の痛みに加えて、スマスロを打っている時は腕のだるさや疲れが半端ない。筋肉が減っているような、妙な脱力感もある。
これは前回の記事で触れた「筋ポンプ作用」の喪失で説明がつく。
メダル機ではメダルを握る・揉む・投入するという動作で、前腕の筋肉が「収縮→弛緩」を繰り返していた。この繰り返しがポンプのように機能して、腕の血流を促進していた。
スマスロではこの筋ポンプ作用がほぼ消える。レバーを叩く・ボタンを押すという動作は一方向かつ瞬間的で、収縮と弛緩のサイクルがまともに回らない。血液が腕に滞留し、酸素と栄養が行き渡らなくなる。
「筋肉が減っているような感覚」の正体は、実際に筋肉が落ちているのではなく、血流不足で筋肉が「使えない」状態になっていることだろう。長時間正座した後に足が使えなくなる感覚と原理的には近い。
一度症状が出ると慢性化する
ここで強調しておきたいのは、これらの症状は一度出ると慢性化し、完全には治りにくいということだ。
腱は筋肉と違って血流が乏しく、回復にとにかく時間がかかる。しかも日常生活でも肘は使うため、完全に休ませることが難しい。パチスロを打ち続ける以上、同じ負荷がかかり続ける。
厄介なのは、一つ一つのダメージが小さく、本人が気づきにくいことだ。
レバーを1回叩いただけでは何も感じない。しかし1日数千回、それを何日も繰り返していると、ある日突然「あれ、肘が痛い」となる。若い人ほど気づくのが遅れ、気づいた時にはかなり蓄積している。
だからこそ「予防」が重要であり、痛くなってから対処するのでは遅い。
3つの症状すべてを軽減する「アームスリーブ」
ここまで3つの症状を紹介してきた。
- レバー・ボタンの反復動作による肘の痛み
- 肘置き圧迫による肘の痛み
- スマスロ時の腕のだるさや疲れ
原因も症状もバラバラだが、この3つすべてを軽減できるアイテムがある。アームスリーブだ。
なぜアームスリーブが効果的なのか
アームスリーブがこの3つの症状を和らげる理由はそれぞれ異なる。
- 反復動作による肘の痛みに対して:コンプレッション(着圧)により筋肉や腱をサポートし、叩いた時の衝撃や振動を吸収する。筋肉のブレを抑制することで、腱の付着部にかかる負荷の軽減が期待できる。
- 肘置き圧迫による痛みに対して:生地がクッションとなり、硬い肘置きと肘の間の物理的な緩衝材として機能する。特に厚手のタイプは衝撃吸収性が高い。
- 腕のだるさ・疲れに対して:コンプレッションによって外側から適度な圧をかけることで、失われた筋ポンプ作用を補助し、血流の改善が期待できる。メダル機で自然に行われていた「握る・揉む」動作の代替とも言える。
実際に私もアームスリーブを着けて打つようになってから、腕のだるさや嫌な脱力感、疲れがかなりマシになった実感がある。
素材選びが重要:ツルツル系 vs ザラザラ系
アームスリーブの素材は大きく2種類に分かれる。
| ツルっとしたタイプ | ザラっとしたタイプ | |
|---|---|---|
| 肌触り | 滑らかで気持ちいい | 布っぽい質感 |
| 生地の厚さ | 薄め・軽い | 厚め・しっかり |
| 着圧 | 弱め(上腕ストッパーで固定) | 手首からしっかり圧がかかる |
| フィット感 | ずり落ちやすい | ずり落ちにくい |
| 衝撃吸収 | 低め | 高い |
| 通気性 | 優れる | やや劣る |
| 注意点 | 保温性が低い | 肘内側のもたつき |
スポーツ時にはツルっとしたタイプも良いが、パチスロ用途であれば断然ザラっとした厚手のタイプがおすすめだ。
着圧によるサポート効果、肘置き圧迫に対するクッション性、血流改善のためのコンプレッション効果、いずれにおいても厚手のタイプが優れている。
アームスリーブの効果や選び方については、g魂 -「プロ野球選手も愛用!アームスリーブの効果や選び方・人気メーカーなど」 に非常に詳しく書かれているので参考にしてほしい。
おすすめのアームスリーブ

私はこれまで5種類以上のアームスリーブを試してきた。パチスロ用途でおすすめできるのは以下の2つだ。
アシックス アームスリーブ(3053A072)【イチオシ】
バレーボール用だが、パチスロにも最適。
- 段階着圧採用で手首からしっかり圧がかかる
- やや厚手の100%ポリエステル生地で衝撃吸収性が高い
- フィット感が抜群で、着け心地は今まで試した中でもダントツ
- 1個1000円以下という驚異的なコスパ
- 左右兼用(両腕に着けたい場合は2個購入すればOK)
- サイズはフリー(適応サイズ26~30cm程度だが伸縮性が高いので適応範囲は広い)
アームスリーブは高いものだと左右で5000円を超えるものもあるが、このアシックスの商品は「高いものほど良い」という常識が当てはまらない稀有な商品だ。
私は体のケアにはかなりお金をかけるタイプで、磁気ネックレスに数万円出すような人間だが、アームスリーブに関しては、この1000円以下のアシックスが一番だった。いつ廃番になってもいいように、いくつかストックするほど気に入っている。

ストックしているアシックスのアームスリーブ
マクダビッド コンディショニング アームスリーブ(MA104)
腕が長めの人にはこちらがおすすめ。
- 段階着圧(ターゲッティドコンプレッション)により血行促進・疲労軽減が期待できる
- テーピング理論に基づいた独自のサポートラインで肘周りのサポート力が強い
- ザラっとした布タイプの素材でフィット感が良い
- アシックスより長めの設計で、腕が長い人でもしっかりカバーできる
- サイズはS(22~24cm)、M(24~28cm)、L(28~33cm)の3サイズ
アシックスとの効果の違いについてだが、正直パチスロを打つだけなら値段の差ほどの優位性は感じられない。
ただ、マクダビッドはスポーツメディカル用品ブランドとして品質に定評があり、プロ野球選手にも愛用者が多い。もしかしたら体感以上の効果があるのかもしれない。
腕の長さが短め~標準的な人はアシックス、長めの人はマクダビッドを選べば失敗の可能性は少ないと思う。
まとめ
パチスロで起こる肘の痛みと腕のだるさには、3つの異なる原因がある。
- レバー・ボタンの反復動作による腱への微細損傷の蓄積(特にスマスロで顕著)
- 肘置きへの長時間圧迫による滑液包の炎症(スマホを見ながら打つ人は特に注意)
- 筋ポンプ作用の喪失による血流不足と腕のだるさや疲れ(スマスロ特有の問題)
これらのダメージは一つ一つは小さく自覚しにくいが、確実に蓄積する。そして一度症状が出ると慢性化し、完治しにくい。
予防策・対症療法として、コンプレッションタイプのアームスリーブの着用をおすすめする。着圧による腱のサポート、クッションによる肘の保護、血流改善による疲労の軽減と、3つの問題すべてに対応できる。
コスパ最強のアシックス(3053A072)なら1個1000円以下。パチスロで何万円も使うことを考えれば、体への投資としては安すぎるくらいだ。
肘の痛みやだるさに悩まされている人は、ぜひ使ってみてほしい。まだ症状がない人も、予防として早めに取り入れることをおすすめする。




