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【ジャグラー】ブドウ逆算ツールは設定判別に使える?数学的に検証してみた

「差枚数からブドウ確率を逆算すれば、わざわざカウントしなくても設定推測できるのでは?」

そこそこジャグラーを打つ人なら、一度はブドウ逆算ツールを使ったことがあるだろう。総回転数とボーナス回数、そして差枚数を入力すればブドウ確率を自動で計算してくれる便利なツールだ。

しかし、この逆算ツール、本当に信頼できるのだろうか?

以前の記事で書いた通り、ブドウは設定差がわずかなうえに小役確率自体がメーカー非公表の推定値だ。直接カウントしても判別が難しいものを逆算でさらに精度の落ちる方法で推測して意味があるのか。

今回はマイジャグ5のアプリシミュレーションデータを使って逆算ツールの信頼性を検証してみた。

先に結論を言うと、ブドウの逆算ツールは設定判別の精密なツールとしてはあてにならない。

前提:ブドウでの設定判別はそもそも難しい

マイジャグ5 ブドウ

本題に入る前に、大前提を確認しておく。

設定 ブドウ確率 設定 ブドウ確率
設定1 1/5.90 設定4 1/5.81
設定2 1/5.88 設定5 1/5.79
設定3 1/5.82 設定6 1/5.69

※アプリによる各設定300万G実戦値(なな徹さん調べ)

上の表はマイジャグ5のブドウ確率だが、設定1(1/5.90)と設定6(1/5.69)の差はたった0.21。この狭い幅の中に6つの設定がひしめいている。

8000G回してもブドウの引きのバラつきはブドウ約34個分。一方、設定1と設定6の期待個数差は50個しかない。直接カウントしてもこの程度の精度しか出ないのだ。

ブドウ逆算ツールの仕組み

ブドウ逆算ツールの計算ロジックは、ざっくり言うとこうだ。

  1. 差枚数からボーナス獲得枚数を引く
  2. 残りの枚数からチェリーやピエロ・ベル、リプレイなどの払い出しを”仮定”で引く
  3. 最後に残った枚数をブドウの払い出し(8枚)で割る

つまり、「差枚数の変動はブドウの増減によるもの」という前提で計算している。

しかし、実際には差枚数に影響を与える要素はブドウだけではない。ここに逆算の構造的な問題がある。

逆算はなぜズレるのか

最大の原因:リプレイの引きムラ

マイジャグ5 リプレイ

逆算を最も狂わせるのがリプレイだ。

リプレイは全設定共通で1/7.298。8000Gなら約1096回引く。リプレイを引くとメダルを投入せずに次のゲームを回せる(3枚分の節約)ため、リプレイの引き具合は差枚数に直接影響する。

問題は、この1096回が毎回きっちり1096回にはならないことだ。引きのバラつきは±約31回。

±31回 × 3枚 = ±約92枚のメダル変動。

逆算ツールは「リプレイは正確に1/7.298で引けた」と決め打ちして計算するため、リプレイが上振れして浮いたメダルをすべて「ブドウがいっぱい落ちたおかげだ」と勘違いしてしまう。ブドウ8枚で換算すると、±約12個分のノイズがリプレイだけで発生する。

ピエロとベルの不確実性

ピエロ(10枚)とベル(14枚)は約1/1030と滅多に来ないが、1回あたりの払い出しが大きい。

8000Gでの期待値は各約7.8回だが、出現率が低いため引きムラが大きく、少ない日は3〜4回、多い日は13〜14回ということが普通に起こる。

そして問題は、成立しても獲得できるとは限らないことだ。チェリー狙いや適当打ちでは、ピエロやベルは基本的に取りこぼす。実際に獲得できるのはおそらく1日で1〜2個程度だ。

逆算ツールには「適当打ち」「チェリー狙い」「完全獲得」などの選択肢があり、打ち方に応じた補正をかけられるものもある。しかし結局のところ、「そもそも何回成立したか」と「実際に何回獲得したか」のズレを完全に解消することはできない。

これらはブドウ換算で±約6個分のノイズに相当する。

チェリーの設定差

チェリーには設定差がある(設定1:約1/38.4、設定6:約1/35.7)。8000Gで設定1と設定6のチェリー個数差は約15個、メダルにして約30枚、ブドウ換算で約4個分。

逆算ツールは当然ながら設定を知らないのでチェリーの設定差を正確に補正できない。さらに「チェリー狙い」でも毎ゲーム完璧に狙えているわけではなく、取得率の仮定と現実にもズレが生じる。

そもそも小役確率が推定値

さらに根本的な問題がある。ジャグラーの小役確率はメーカー非公表だ。

逆算ツールが正確に計算するにはリプレイ確率、チェリー確率、ピエロ確率、ベル確率…これらすべての「正しい値」が必要だ。

しかしメーカーは公表していない。攻略サイトやツール制作者がシミュレーションから推定した値を使うしかなく、サイトによって数値はバラバラだ。

つまり逆算とは、「正解の分からない小役確率」を前提に、「リプレイの引きムラ」などのノイズが乗った差枚数から、「設定差がわずか0.21しかないブドウ確率」を推測するという、不確実性が何重にも重なった行為なのだ。

データで検証:アプリのシミュレーションデータを逆算にかけてみた

理屈だけでは実感が湧きにくいので実際に検証してみた。

マイジャグ5の設定6を小役完全獲得でシミュレーションした全29サンプルのデータを逆算ツールの小役完全獲得モードに入力した。小役完全獲得なのでチェリーやピエロ・ベルの取りこぼしという変数はない。逆算にとって最も有利な条件だ。

以下はそのうち7サンプルを抜粋したものだ。

サンプル G数 BIG REG 差枚数 実カウント 逆算結果
1 8755 34 41 +2191 1/5.73 1/5.91 +0.18
2 8894 41 39 +3733 1/5.56 1/5.71 +0.15
3 8772 28 44 +1122 1/5.63 1/5.76 +0.13
4 8558 37 41 +2880 1/5.70 1/5.94 +0.24
5 8936 48 44 +5874 1/5.61 1/5.70 +0.09
6 8586 35 41 +2520 1/5.79 1/5.86 +0.07
7 8759 45 27 +3820 1/5.52 1/5.65 +0.13

※すべて設定6(ブドウ理論値1/5.69)、小役完全獲得のシミュレーションデータ。
※シミュレーションデータはnote「マイジャグラーV 設定6のデータをまとめてみた〜設定6は本当に別格か?〜」より使用。

抜粋した7サンプル全てで、逆算がブドウ確率を悪い方にズレさせている。

サンプル4は実カウント1/5.70(設定6ど真ん中)なのに、逆算は1/5.94(設定1相当)。差は0.24で、設定差の全幅0.21を超えている。設定6なのに逆算では設定1に見えてしまう。

全29サンプルの平均で見ても、実カウント平均1/5.71(設定6付近)に対し、逆算平均は1/5.82(設定3付近)。設定にして3段階のズレだ。

平均でこれだけズレているということは、単なる引きムラではなく、ツールの内部仮定かアプリの仕様(またはその両方)に起因する系統的なズレが含まれている可能性が高い。

しかも、これは逆算にとって最も有利な小役完全獲得のデータで起きている。実際のホールでのチェリー狙いや適当打ちなら、さらにズレは大きくなるだろう。

ツールによって結果が違う

興味深いことに同じデータを別の逆算ツールにかけてみたところ、結果がかなり異なった。

サンプル 実カウント ツールA ツールB
1 1/5.73 1/5.91 +0.18 1/5.69 -0.04
2 1/5.56 1/5.71 +0.15 1/5.59 +0.03
3 1/5.63 1/5.76 +0.13 1/5.64 +0.01
4 1/5.70 1/5.94 +0.24 1/5.81 +0.11
5 1/5.61 1/5.70 +0.09 1/5.58 -0.03
6 1/5.79 1/5.86 +0.07 1/5.74 -0.05
7 1/5.52 1/5.65 +0.13 1/5.54 +0.02

ツールAは全サンプルで悪い方にズレ、平均で0.14もの差がある。対して、ツールBは良い方にも悪い方にもバラつき、平均では0.04程度のズレで済んでいる。

同じデータ、同じ台、同じ設定なのに、ツールが変わるだけでこれだけ結果が違う。逆算ツールの内部で使われているボーナス獲得枚数や小役確率の仮定が異なるためだ。

しかも皮肉なことにデータの条件に合ったモードを選んだツールAの方がズレが大きく、条件と合わないモードで計算したツールBの方が実カウントに近いという結果になった。

逆算ツールは使うツールやモードの選び方ひとつで結果が大きく変わる。「どのツールのどのモードが正解か」は、結局のところ実際にカウントしてみないと分からないのだ。

ノイズの全体像

ここまでの話をゲーム数ごとの数値で整理する。「見つけたい信号(設定差)」に対して、「ノイズ(バラつき)」がどれだけあるかの一覧だ。

最後の列はブドウ自体の引きムラにリプレイやピエロ・ベルのノイズが加わった、逆算値全体のバラつきだ。直接カウントなら「ブドウの引きムラ」の列だけで済むが、逆算ではそこにさらにノイズが乗る。

ゲーム数 設定差(個) ブドウの引きムラ リプレイの引きムラ ピエロ・ベルの引きムラ 逆算値の総バラつき
1000G 6個 ±12個 ±4個 ±2個 ±13個
2000G 13個 ±17個 ±6個 ±3個 ±18個
3000G 19個 ±21個 ±7個 ±4個 ±22個
5000G 31個 ±27個 ±9個 ±5個 ±29個
8000G 50個 ±34個 ±12個 ±6個 ±36個
10000G 63個 ±38個 ±13個 ±7個 ±40個

※バラつきは「約68%の確率でこの範囲に収まる」値。
※逆算値の総バラつきは各ノイズを合成した値(二乗和の平方根:誤差の伝播)。

この表のポイントは、「設定差」の列と「ノイズ」の列の大きさ比べだ。

5000G以下では、ブドウの引きムラだけで設定差を上回っている。 直接カウントしても判別困難なのに、逆算ではリプレイやピエロ・ベルのノイズがさらに上乗せされる。

8000G回しても逆算ノイズ±36個に対して設定差は50個。例えるなら、100gの差を測りたいのに±72gブレる体重計で量っているようなものだ。

結論:逆算は「精密な判別ツール」ではない

今回の検証で分かったことをまとめる。

1. ブドウでの設定判別は、直接カウントしても元々難しい → 設定1と設定6の差はわずか1.037倍。8000G回してもブドウの引きムラが設定差の68%もある。

2. 逆算はそこにさらにノイズを上乗せする → リプレイの引きムラを筆頭に、ピエロ・ベル、チェリーのズレが全部乗っかる。しかも前提となる小役確率自体がメーカー非公表の推定値だ。

3. 実データでも大きなズレが確認された → 設定6のデータを逆算にかけたら設定1に見えるケースまであった。逆算にとって最も有利な条件でこの結果だ。

4. ツールによって結果がバラバラ → 同じデータでもツールが変われば結果が大きく異なる。しかもデータの条件に合ったモードを選んだ方がズレが大きいケースもあった。

逆算ツールは便利だし、私自身も使うことはある。カウントし忘れた時や後ヅモを狙った時に「まあ、こんなもんか」と眺める分には使い道はある。

ただし、その数字を根拠に「高設定だ」と判断するのは危険だ。設定6のデータが設定1に見えることすらある。逆算の数字で一喜一憂するくらいなら最初から地道にカウントした方がずっとマシだ。

ブドウで設定判別をしたいなら、直接カウントする以外に信頼できる方法はない。 そして、直接カウントしてもなお困難であるという事実を忘れてはいけない。

ブドウはあくまで判断材料のひとつ。より重要なのは台選びの根拠と設定差の大きいREG確率だ。

逆算ツールは便利だが、あくまで「おおざっぱな目安」として割り切って使うもの。その数字にはあなたが思っている以上のノイズが含まれている。

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