ここ数年、ホールの設定配分が変わってきたと感じている人は多いのではないだろうか。
以前は「設定1と2がメインで、イベント時に設定5と6を数台入れる」というメリハリのある配分が多かった。しかし最近は「設定5や6をほとんど入れず、代わりに設定3や4を多めに入れる」という店が増えてきた印象がある。
データサイトを見れば分かるが、イベント日でも明確な設定6挙動の台が見当たらず、代わりに合算1/130〜140くらい、設定3・4あたりの中間設定と思われる「そこそこ」の台が島中にゴロゴロ転がっている日がある。一昔前なら設定2の上振れを疑うレベルだが、最近はこういう日が増えた。
今回はこの二つの店舗タイプ(便宜上「メリハリ型」「遊ばせる型」と呼ぶ)をシミュレーションで比較検証してみた。個人と軍団で最適な店選びは変わるのか、中間設定はなぜ打ち手にとって厄介なのか、そして店舗側の狙いは何か。数字を見ながら考えていきたい。
メリハリ型と遊ばせる型|2つの設定配分モデルを定義する
まず、比較のために二つの店舗タイプの設定配分を定義する。
ボーナス確率はメーカー公表値(確定値)を使い、配分はメーカー公表値ベースの機械割が約100%(分岐営業)になるよう設計した。対象機種はマイジャグラー5。
| 設定 | メリハリ型 | 遊ばせる型 |
|---|---|---|
| 設定1 | 35% | 20% |
| 設定2 | 35% | 30% |
| 設定3 | 5% | 22% |
| 設定4 | 5% | 20% |
| 設定5 | 10% | 6% |
| 設定6 | 10% | 2% |
| 56合計 | 20% | 8% |
| 34合計 | 10% | 42% |
メリハリ型は12がメインで56が少し。遊ばせる型は設定34の中間設定が多めで56はわずか。これが今回の二つのモデルだ。
ここで一つ面白い発見がある。メリハリ型で「12メイン」にすると、分岐営業に持っていくために56を合計20%も入れなければならない。
設定12は機械割96〜98%台しかなく、70%をこれで埋めると全体の平均が大きく沈むからだ。それを引き上げるには56をそれなりに入れる必要がある。「56が少し」と言いつつ20%。これは覚えておいてほしい。
なお、この20%は台数比で機械割100%に揃えた計算上の値だ。実際のホールでは高設定ほど長く回される「稼働バイアス」があるため、台数比ほど56を入れなくても実質機械割は上がる(この点は後の経営の話で改めて触れる)。
今回のシミュレーションは実在店の再現ではなく、二つのタイプを同条件で比較するためのモデルと見てほしい。
シミュレーションで使った機械割は以下の通り。機械割はメーカー公表値(適当打ち)と完璧なチェリー狙いの中間〜ややチェリー狙い寄りの独自推定値とした。全員が完璧にチェリーを狙えるわけではないので、現実的なラインだと思う。
| 設定 | ボーナス合算 | 機械割(今回使用) | 8000Gの期待収支 |
|---|---|---|---|
| 設定1 | 1/164.0 | 97.3% | −648枚 |
| 設定2 | 1/159.1 | 99.3% | −168枚 |
| 設定3 | 1/148.6 | 101.4% | +336枚 |
| 設定4 | 1/135.4 | 103.8% | +912枚 |
| 設定5 | 1/126.8 | 106.6% | +1584枚 |
| 設定6 | 1/114.6 | 110.9% | +2616枚 |
注目してほしいのは設定4の期待収支だ。8000G回して+912枚。期待値的には悪くない。
だが後で見るように、設定4は「掴んでいるか分からない」「掴んでも体験として地味」という二重の問題を抱えている。問題は設定4そのものの性能ではなく、識別と保持の難しさにある。
検証①:設定判別なしでランダムに座るとどうなるか
まずは最もシンプルなケース。設定判別を一切せず、ランダムに座って8000G回した場合を30000日分シミュレーションした。
| 指標 | メリハリ型・個人 | 遊ばせる型・個人 | メリハリ型・軍団 | 遊ばせる型・軍団 |
|---|---|---|---|---|
| 期待値(1人/日) | +204枚 | +222枚 | +195枚 | +228枚 |
| 勝率 | 50.9% | 53.4% | 57.2% | 59.9% |
| 標準偏差 | 2070枚 | 1913枚 | 922枚 | 862枚 |
※軍団は5人で各自ランダムに着席、1人あたりの数値
※標準偏差は日単位の収支のブレ幅。大きいほど「大勝ちも大負けもありうる」、小さいほど「期待値の周辺に収まりやすい」
判別なしなら、遊ばせる型が期待値・勝率・標準偏差のすべてで上回っている。
なお「分岐営業(100%)の店なのにランダムに座って+200枚出るのか?」と思うかもしれない。これは店の機械割がメーカー公表値(適当打ち)ベースで100%なのに対し、実際の打ち手はチェリー狙い等の技術介入で実効機械割が約100.8%になるためだ。この差がランダム着席でも微プラスを生む。
遊ばせる型が有利な理由は単純で、設定1の比率が低い(20% vs 35%)。ランダムに座ったとき一番大きな損失を生むのは設定1だから、設定1が少ない方がダメージが小さい。
ここでの教訓は明快だ。設定判別をしない(できない)なら、遊ばせる型の方がダメージが少ない。
軍団の標準偏差にも注目してほしい。個人の約半分にまで下がっている。同じ期待値でも、5人で平均すれば日単位のブレは大幅に縮む。これが軍団の基本的な強みだ。
検証②:設定判別を入れると期待値・勝率はどう変わるか
次に、現実的な設定判別行動を組み込んだモデルを見る。条件は以下の通り。
- 2000Gと4000Gの時点でBIG・REG回数からベイズ推定を行う
- 「このまま打つより、帰って明日また新しい台に座る方がマシ」と判断したら帰宅する(推定期待機械割がランダム着席時の平均を下回ったら撤退)
- 帰宅後は他の台に移らない(ダメなら帰るだけ)
- 軍団は各メンバーが独立に判断する
なお、ここで言う「軍団」は、仲間内で複数人が同じ店に入り情報を共有して打つグループ全般を指す。プロの組織でなくても、友人同士のノリ打ちで人数を揃えれば構造は同じだ。本稿の軍団の数字は、そうしたグループ全般に当てはまる。
「台移動なし」は一見非現実的に思えるかもしれないが、分岐営業レベルのイベント日は稼働率が高い。高設定台は朝から打たれ続けて空かず、日中に空くのは「誰かが見切って捨てた台」か「朝から不発の台」がほとんどだ。空き台プールの期待値は朝イチのランダム着席より明確に低い。

夕方以降に仕事や家庭の事情で高設定が手放されれば話は別だが、日中の台移動は被害を広げるだけのケースが多い。今回は余計な変数を排除するため、ダメなら帰るモデルで統一した。
なお、ベイズ推定にはメーカー公表値であるBIG・REG確率のみを使い、ブドウ確率は含めていない。
「ブドウを数えれば3と4を見分けられるのでは」と思うかもしれないが、仮にブドウを加えても2000Gでの3vs4の分離は0.35SD程度で、ほぼコイントスの域を出ない。4000Gまで回しても誤判別率は3割を切らない。ブドウが効くのは1vs6のような遠い境界であって、2000〜4000Gで3vs4を判断する場面ではほぼ無力だ。
逆に言えば、12と56の判別が主戦場になるメリハリ型では、ブドウは強力な武器になる。つまりブドウカウントという技術もメリハリ型でこそ活き、遊ばせる型の中間設定の海では持ち腐れになる。これもメリハリ型の優位を補強する材料だ。
個人
| 指標 | メリハリ型 | 遊ばせる型 |
|---|---|---|
| 期待値 | +250枚 | +215枚 |
| 勝率 | 47.5% | 48.7% |
| 標準偏差 | 1520枚 | 1410枚 |
| 撤退率 | 75.4% | 70.0% |
| 平均プレイG | 3694G | 4023G |
軍団(5人・1人あたり)
| 指標 | メリハリ型 | 遊ばせる型 |
|---|---|---|
| 勝率 | 60.6% | 58.8% |
| 標準偏差 | 680枚 | 630枚 |
設定判別を入れると、メリハリ型と遊ばせる型の優劣が逆転する。個人の期待値はメリハリ型+250枚に対し遊ばせる型+215枚。判別なしでは遊ばせる型が上回っていたのに、判別を入れた途端メリハリ型が逆転した。
なぜ逆転したのか。鍵は「判別効果」、つまり判別を入れることで個人の期待値がどう変わるかだ。
| メリハリ型 | 遊ばせる型 | |
|---|---|---|
| 判別なし | +204枚 | +222枚 |
| 判別あり | +250枚 | +215枚 |
| 判別効果 | +46枚 | −7枚 |

メリハリ型では判別が期待値を押し上げるのに対し、遊ばせる型では判別を入れると逆に期待値が下がる。判別行動そのものが裏目に出ているのだ。
なお、判別ありの勝率が判別なしより下がっているのは、撤退率75%(4日に3日は2000〜4000Gで帰宅する)によるものだ。帰宅する日は少額の負けで終わり、残る25%の「終日打てた日」に大きく勝つ。期待値はプラスでも、日単位では小さなマイナスが積み重なる構造だ。
軍団の強みは期待値ではなく分散の安定にある。独立判断モデルなので1人あたりの期待値は個人とほぼ同じ(だから判別効果も個人と同じ構造)だが、勝率は47.5%→60.6%に上がり、標準偏差は個人の約45%(√5分の1)まで下がる。
検証①でも②でもこの法則は一貫しており、5人で平均することで日単位のブレが縮み、月単位ではほぼ負けなくなる。詳しくは月間収支のセクションで見る。
なぜ遊ばせる型で判別が裏目に出るのか。次のセクションで設定別の行動パターンを見ると、理由がはっきりする。
設定別の立ち回りデータが暴く「中間設定の罠」
ここが今回の記事で最も重要なデータだ。各設定に座ったとき、打ち手がどう行動したかの内訳を見てほしい。
メリハリ型
| 設定 | 配分 | 2000Gで帰宅 | 4000Gで帰宅 | 終日 | 平均収支 |
|---|---|---|---|---|---|
| 設定1 | 35% | 78.4% | 11.9% | 9.7% | −234枚 |
| 設定2 | 35% | 74.3% | 12.4% | 13.4% | −83枚 |
| 設定3 | 5% | 63.1% | 12.7% | 24.2% | +142枚 |
| 設定4 | 5% | 46.3% | 9.3% | 44.4% | +548枚 |
| 設定5 | 10% | 36.7% | 8.4% | 54.9% | +1108枚 |
| 設定6 | 10% | 21.6% | 4.3% | 74.1% | +2091枚 |
遊ばせる型
| 設定 | 配分 | 2000Gで帰宅 | 4000Gで帰宅 | 終日 | 平均収支 |
|---|---|---|---|---|---|
| 設定1 | 20% | 74.3% | 12.6% | 13.0% | −232枚 |
| 設定2 | 30% | 70.2% | 12.6% | 17.3% | −61枚 |
| 設定3 | 22% | 56.6% | 11.8% | 31.6% | +191枚 |
| 設定4 | 20% | 40.8% | 8.7% | 50.5% | +626枚 |
| 設定5 | 6% | 33.5% | 5.8% | 60.6% | +1156枚 |
| 設定6 | 2% | 16.7% | 2.6% | 80.8% | +2168枚 |
メリハリ型を見てほしい。設定1なら78.4%が2000Gで正しく見切って帰宅し、設定6なら74.1%が終日打ち切れている。12と56の差が大きいから「この台は良い/ダメ」の判断がつきやすい。白黒がはっきりする世界だ。
ちなみに同じ設定1でもメリハリ型78.4%・遊ばせる型74.3%と帰宅率に差がある。これはシミュレーション内部のベイズ推定で事前確率(店の配分モデル)が異なるためだが、現場の感覚でも同じことが言える。
メリハリ型では「この店は12か56か」と分かっているから、序盤が悪ければ「1だな」とすぐ見切れる。遊ばせる型では「3か4の可能性もある」という迷いが消えず、見切りが遅れる。この「迷い」こそ中間設定の罠の本質だ。
一方の遊ばせる型。まず設定3は機械割101.4%、8000G回しても+336枚で、1日潰して6千円ちょっとだ。それが31.6%も終日打たれてしまう。中間設定の展開は序盤の引き次第でどうにでも転ぶからだ。
設定3でも序盤に引ければREG確率1/300を切ることは普通にあり、「設定4か5かも」と粘る。逆に設定4でも序盤に引けなければREG確率1/400を超え、「設定2っぽい」とやめてしまう。
実際、遊ばせる型では設定4の40.8%が2000Gで見切られている。機械割103.8%のプラス台を捨てているのだ。
つまり遊ばせる型の本当の問題は、残すべき設定4が序盤の展開で捨てられ、3と4のどちらに座っているかが実質ランダムに決まることだ。
設定3に終日座ること自体は機械割101.4%でマイナスにならない。しかし設定4(103.8%)を捨てるロスは大きく、その判断は設定の差ではなく序盤の「引き」で決まっている。以前検証した境界線Z値でも、マイジャグ5の3vs4はZ値0.354。3000G回してもほぼ判別不能だ。
中間設定が多い環境では、設定判別が実質的にコイントスになっている。これが遊ばせる型で「判別が裏目に出る」原因だ。
ホール読み・知識介入で勝率の天井はどこまで上がるか
ここまでは「ランダムに座ってベイズ推定だけで判断した場合」、いわば下限値の話だ。現実の打ち手はここにいくつものレイヤーを積む。
一つ目は、座る前の段階。前日・前々日のデータ、店長のクセ、特定の台番や場所の傾向、イベントの強さ。これらで「ランダムに座る」を「根拠を持って座る」に変えるだけで、初手で56を掴む確率は事前配分よりかなり上がる。
二つ目は、実践中の周囲観察。島全体のボーナス回数から「この島は今日入っている」「自分の台は島の中で明らかに弱い」という相対判断ができる。シミュレーションは自分の台のデータだけで判断しているが、現実にはもっと情報がある。
三つ目が、シミュレーションでやったBIG・REG回数からのベイズ的な押し引きだ。
重要なのは、読みや知識介入の効果はメリハリ型で圧倒的に大きくなる点だ。理由は単純で、56の投入率はメリハリ型20%・遊ばせる型8%。狙える的の数が2.5倍違う。読みの的中率を上げるほど、この2.5倍が効いてくる。
しかも遊ばせる型は読みが当たっても天井が低い。当たる先が設定4なら平均+626枚。一方メリハリ型で設定6を掴めれば+2091枚。当たったときのリターンが3倍以上違う。シミュレーションの+250枚はあくまで「何の根拠もなく座った場合」の数字であり、ホール読みができる打ち手がメリハリ型を選べばここからさらに伸びる。
そして軍団なら、知識介入の効果はさらに跳ね上がる。今回は各メンバーが独立に判断するモデルだが、現実の軍団はそんなに甘くない。
島全体の挙動を共有し、さまざまな法則性を読み、「自分がハズレを回す間に、組織の誰かが当たり(設定56)を確保する」。5人が別々の台のデータを同時に蓄積し、高設定の可能性が高い台に集約できる。
56が20%あるメリハリ型なら、5人で5台押さえれば朝の時点で高確率で設定56を最低1台は掴める。シミュレーションの数字は、軍団の本当の脅威を過小評価していると言っていい。
パチンコのボーダー理論と何が決定的に違うのか
少し脱線して、軍団の立ち回りについて一つの仮説を検証しておきたい。
前章で「中間設定の判別は実質コイントス」と書いたが、この判別困難さを軍団と確認コストの言葉で言い換えるとどうなるか、という話だ。
当初、「軍団なら遊ばせる型の方が有利では」という仮説を持っていた。
パチンコのボーダー理論からの類推だ。パチンコではボーダー+2〜3程度の薄利台をピンで打つと日単位で分散に負ける日がゴロゴロあるが、軍団なら同条件の台を5台10台並行で回せるので日単位でもそこそこ収束する。ならばジャグラーの設定4(103.8%)も同じ構造で、軍団なら数の暴力で安定回収できるのではないか。
この仮説は、結果を見る限り成り立たない。軍団もメリハリ型の方が有利だった。
理由は、パチンコとジャグラーの決定的な違いにある。パチンコは釘読みで事前にある程度答えが見える。「ボーダー+3」と判断して座り、それなりに回せば回転数で答え合わせができる。「期待値がプラスか」の確認コストが極めて低く、薄利でも確信を持って終日回せる。
ジャグラーはそうはいかない。設定4に座っているのか設定3なのかすら、3000G回しても判別困難だ。確信なき薄利は、人数を増やしても確信なき薄利のまま。パチンコで言えば「釘が読めない状態で、たぶんボーダーちょい上かもしれない台を回している」ようなものだ。それでは数の暴力も効きにくい。
パチンコは専門外なので詳しい方にはご容赦いただきたいが、「事前の確認コスト」がまったく異なるという構造的な違いは重要だと思う。
なぜ遊ばせる型の店が増えているのか|店舗経営の視点
視点を店舗側に切り替えてみよう。遊ばせる型の経営メリットは明確だ。
一つ目は、プロに抜かれにくいこと。シミュレーションが示した通り、遊ばせる型では判別効果がマイナスに出る。スキルのある打ち手の優位を構造的に削いでいる。
二つ目は、軍団対策。今回は分岐営業(100%)の想定だが、もちろん実際に毎日分岐で営業する店はない。基本は回収で、分岐はせいぜい弱めのイベント日、強いイベントなら110%営業もある。仮に月の4分の1がイベント日だとしても、その日ごとに軍団5人へ期待値を抜かれるのは大きな痛手だろう。
しかもメリハリ型で設定を入れるほど、軍団の月間勝率は限りなく100%に近づく。先述の通り現実の軍団はシミュレーションよりはるかに凶悪で、メリハリ型で56を入れる限りこの被弾は避けられない。
だからこそ店は軍団を徹底排除しなければならない。遊ばせる型で構造的に旨味を消すか、難しければ地道な調査と出禁で排除するか。いずれにせよ、軍団を放置したままメリハリ型で営業を続けるのは店にとって最悪の選択肢だろう。
実際、私の通う優良ホールは軍団対策を徹底している。自ら積極的に調査するのはもちろん、客からの軍団・大人数ノリ打ちの通報を歓迎し、間違いのないように行動をしっかり確認した後に注意や出禁対応している。
イタチごっこではあるが、体感では確実に数を減らしている。こうした店ほど安心して高設定を追える環境が保たれており、打ち手と店の利害が珍しく一致している例だと思う。
三つ目は、一般客の滞在時間。設定34が多ければ「大負けしない」体験を提供でき、稼働が高いままシマが埋まれば見た目の活気も出る。
メリハリ型で70%が設定12だと、判別できなくても「全然当たらない」体感で早めにやめる人が多い。中間設定はREGがそこそこつくから、少なくともGOGOランプは光る。遊べている実感があれば長く座ってくれる。
四つ目は、見落とされがちな「稼働バイアス」だ。シミュレーションは台数比で機械割100%に設計したが、現実には設定1は早く見切られてゲーム数が少なく、設定6は終日回されてゲーム数が多い。稼働ゲーム数で加重した実質機械割は台数比の想定より高くなり、店の計算以上に出てしまう。
メリハリ型は設定間の差が大きいほどこのバイアスも大きく、利益計画が狂いやすい。遊ばせる型なら設定間の差が小さく、誰が何ゲーム回しても実質機械割が計画からブレにくい。経営の安定という意味でも遊ばせる型に分がある。
こう見ると遊ばせる型は経営的に合理的で、増えているのも納得できる。しかし、ずっとこの営業はできない。問題は「期待感」の欠如だ。
以前検証した大量出玉確率を思い出してほしい。
| 目標 | 設定4(8000G) | 設定6(8000G) | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 5000枚以上 | 0.4% | 7.4% | 約18倍 |
| 100ペカ達成 | 0.22%(10000G) | 9.77%(10000G) | 約44倍 |
5000枚出る確率は設定4で0.4%、設定6で7.4%と約18倍。100ペカ達成に至っては約44倍だ。つまりジャグラー打ちが夢見る体験は、設定6でなければほぼ起きない。
設定4を終日打って+1000枚、「まあ勝ったな」で帰る。翌日+500枚、その翌日−200枚。収支はプラスかもしれないが、胸が躍る興奮や誰かに話したくなる体験は何も生まれない。
一方、設定6を掴んだ記憶は鮮烈に残る。合算1/82、BIGとREGが同数で並び、気づけば差枚+8500枚。脳が焼けるような快感や圧倒的優越感、強い充実感、鮮やかな成功体験があるからこそまた来る。設定4の+1000枚は「たまたま引きが良かった日」としか記憶に残らない。
リピーターを生むのは設定6の体験であって、設定4の収支ではない。だからオール遊ばせる型の店は、長期的にはジリ貧になる。プロには旨味が薄く、一般客には記憶に残る体験がなく、誰にとっても「わざわざ行く理由がない店」になっていく。

実際、うまくやっている店はメリハリと遊ばせるのハイブリッドだ。
私が通う店の一つは、休日イベントは設定4多め・5少し・6は極小の遊ばせ配分で稼働を維持しつつ、平日イベントはメリハリ型で高設定体験を供給する。かと思えば、何でもない通常日にいきなり設定6を大量投入して「この店はイベントでもない日に6を入れるのか!」という驚きを残すことすらある。
「期待感」の演出に力を入れる店ほど、長期的に稼働が安定している印象がある。
それでもジャグラーを打つ理由
個人的な話になるが、私がジャグラーを打つ理由の90%は「設定状況が他のノーマルタイプより良く、勝てる機種だから」だ。
GOGOランプが光ることだけを楽しみに、何時間も少額を勝ったり負けたりしながら打てる猛者もいるだろう。それも一つのスタイルだと思う。
しかし正直、ジャグラーの通常時の演出はほぼなく、リール制御も他のノーマルに比べ単調だ。純粋なゲーム性ならシェイクやユニバのノーマルタイプの方が上だろう。ハッピージャグラーだけは、打ち方によって他のノーマルにも負けない面白さがあるが。

それでもジャグラーが設置台数1位を維持するのは、ホールが設定を使ってくれるからだ。設置台数が多いから高設定の絶対数も多い。稼働が高いから店も利益が出る。だからまた設定を使える。この好循環こそジャグラーの本当の強みで、GOGOランプはそれを彩る演出に過ぎない。
遊ばせる型が増えてこの好循環が崩れれば、「設定状況が良いから打つ」人の動機が消える。残る1割のGOGOランプ愛好家だけでは、島の稼働は維持できないだろう。
まとめ:台に座る前に「今日の配分タイプ」を読む
結果を整理する。
●判別なし(ランダム着席)
- 遊ばせる型がすべての指標で微有利
- 設定1を引く確率が低い分ダメージが小さい
- 設定判別をしない層には遊ばせる型の方が優しい
●判別あり(ダメなら帰るモデル)
- メリハリ型が個人の期待値で逆転(+250枚 vs +215枚)
- 遊ばせる型では判別効果がマイナス(−7枚)。判別行動そのものが裏目
- 軍団は期待値では個人と大差ないが、勝率と安定性で圧倒的に有利
●月間収支(オール分岐営業と仮定)
| メリハリ型 | 遊ばせる型 | |
|---|---|---|
| 個人・月間平均 | +10.1万円 | +8.7万円 |
| 個人・月間勝率 | 76.7% | 73.9% |
| 軍団・月間勝率 | 96.1% | 91.8% |
個人にとってもメリハリ型が有利だが、注意すべきは日単位の勝率が47.5%しかないことだ。4日に3日は早期に帰宅することになる。期待値はプラスでも、体感は「ほとんど毎日負けている」に近い。
以前書いた「ジャグラーの収支構造は小さなマイナス×多数回+大きなプラス×少数回」がメリハリ型ではさらに強く出る。日単位の勝率ではなく、月単位・年単位の期待値で考えることがより一層重要になる。
軍団の安定感は突出している。1人あたりの期待値は個人と変わらないのに、5人で平均すれば月間勝率は個人の76.7%に対し96.1%まで上がる。負ける月は年に1回あるかないか。
同じ期待値を稼いでも、個人は4ヶ月に1回の負け月で消耗し、軍団はほぼ毎月確実にプラスで終わる。軍団が組織として成り立つ理由も、店が軍団対策に力を入れるべき理由も、この数字に凝縮されている。
これは専業の軍団に限った話ではない。仲間と一緒に同じ店に入り、台の情報を共有して打つだけで、個人より日々のブレははるかに小さくなる。ノリ打ちが昔から成立してきた数理的な裏付けがこれだ。
実践的な指針はこうなる。
設定判別ができる個人打ちは、メリハリ型の店や日を選ぶのが正しい。知識介入のリターンが大きく、56を掴んだときのリターンも大きい。ただし日単位の負けが増える覚悟はいる。
判別力に自信がない層は、遊ばせる型の方がダメージは少ない。「大ハズレ」を引く確率が低いぶん、傷は浅い。
そして最も重要なのは、同じ店でも日によって配分タイプが変わることだ。メリハリの日を見極められればシミュレーション以上のリターンが取れ、遊ばせる日だと気づけば深追いしない。
繰り返し書いてきた「台の上より台に座る前」。今回の検証は、その先にもう一段あることを示している。長くなったが、次に店へ向かうときの判断材料にしてもらえれば幸いだ。
最後にもう一度。台に座る前に、今日の店がどちらの配分か。 これを読めるかどうかが、収支を分けるもう一つのレイヤーだ。
