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ジャグラーの設定判別が難しい理由|3000回転回しても中間設定は見抜けない

前回、ジャグラーの負けの大半は「座る前」に確定しているという話をした。

では、壁を越えられたとしよう。設定5・6を使う店を見つけ、根拠のある日に抽選も勝ち抜いて、無事に狙いの島に座れた。ここから先は判別の腕次第、と言いたいところだがそうはいかない。

今回は多くの人が信じている「回せば分かる」という前提そのものを疑う話をする。

REGはついてくるのに財布が軽くなる

連載の冒頭に登場した打ち手を覚えているだろうか。彼は「REGがそこそこついてくる」ことを理由に続行し、負けた。

実はこれ、引きが悪かったのではなく、そういう体験を生産する設定が存在する。中間設定だ。

ゴーゴージャグラー3を例に出す。設定3〜4のREG確率は1/270〜300台。打っているとREGはそれなりの間隔でついてくる。データカウンターを見ても「悪くない」。むしろ少し期待してしまう数字だ。

ところが機械割はチェリーをある程度狙っても100〜103%程度。私が勝負ラインの目安にしている104%には届かない。もちろん適当打ちならさらに下がる。

REGはついてくるのに出玉がついてこない。

「悪くない」という感覚のまま、閉店まで座らせて静かにコインを回収する。中間設定とはそういう席だ。はっきり悪い台なら誰でも見切れる。「悪くない」台こそが一番長く人を座らせ、一番多くの財布を軽くする。

ジャグラーの勝ちの正体は「小さなマイナスを多数回、大きなプラスを少数回」という収支構造だ。そして中間設定は、この「小さなマイナス」の最大の供給源になっている。

ミスタージャグラー 中間設定 データ

3000回転回しても分からないものは分からない

「だったら、回して見極めればいい」と思うだろう。設定1と設定6を比べるならそれは正しい。数千回転も回せば数字はかなり正直になる。

だが実践で本当に知りたいのはそこではない。

目の前の台が設定3なのか4なのか。4なのか5なのか。遊びの設定なのか、勝負になる設定なのか。この境界線こそが知りたいのに、よりによってここが一番見えない。

結論だけ書くと、隣り合った設定同士の見分けは、3000回転回しても統計的にほぼ不可能だ(なぜそう言えるかの計算は軍資金の記事に書いた。興味のある人はそちらを)。ボーナス確率の差が小さすぎて、引きムラの中に完全に埋もれてしまう。

マイジャグラーVの設定3・4・5について、3000回転時点の合算REG回数の分布を重ねた図。3つの山はほぼ重なっており、REG10回という結果がどの設定でも同じくらい起こりうることを示している

設定3と設定4の重なりは約8割、設定4と設定5に至っては約9割ある。3000回転でREGが10回だったとき、それは設定3でも設定4でも設定5でも、同じくらいありふれた結果でしかない。

中間設定に座るというのは、表と裏の出やすさがわずかに歪んだコインを、歪みの向きを知らされないまま投げ続けるようなものだ。何十回投げても歪みは見えてこない。見えないまま、1回転ごとに参加費だけ払っていく。

もう一つ、意外に思われるかもしれないことを書いておく。朝一からの大ハマリは、実は親切だ。800回転ノーボーナスを食らえば、高設定の可能性が大きく削れたことがはっきり分かる。痛いが判断はできる。

本当に厄介なのは、良いとも悪いとも言えない「中間挙動」のまま何千回転も過ぎていく時間だ。財布と判断力を最も削るのは、大ハマリではなくこちらだと私は思っている。

【ジャグラー】設定差の大きい単独レギュラーを分けて設定判別する意味はある?
ジャグラーの単独レギュラーを分けて数えても、設定4以上の確率は1ポイントしか動かない。金額にすれば月100円ちょい。しかも目押しミスが2割あれば符号が逆転し、合算REGだけを見るより悪くなる。Z値とベイズ推定で検証した。

高設定でも負ける日、低設定でも勝つ日

さらに話をややこしくするのが、出玉のブレだ。

どれくらいブレるのか、マイジャグラーVのスペックを使って、設定ごとの「1日」を10万回ずつシミュレーションしてみた。負けて終わる日の割合はこうなる。

設定 8000回転回した日 5000回転回した日
4 約4日に1回(25.5%) 約3日に1回(30.3%)
5 約8日に1回(12.8%) 約5日に1回(18.7%)
6 約30日に1回(3.3%) 約13日に1回(7.7%)

※チェリー狙いの機械割(推定値)に合わせて較正した簡易シミュレーション。

マイジャグラーの設定6ともなれば、さすがに勝率は高い。それでも、朝から閉店までぶん回して30日に1回、もう少し現実的な稼働時間なら13日に1回は負けて帰る計算になる。「珍しいが、起こらないわけではない」の中身はこれだ。

そして本当の問題は設定5だ。チェリー狙いで機械割107%程度という文句なしの勝負台なのに、5日から8日に1回は負けて終わる。設定4なら3〜4日に1回。しかも第1回の設定配分を思い出してほしい。実践で掴めるのは6より5や4の方がずっと多い。

つまり「高設定を掴んだのに負けた」は事故ではなく、最初から織り込んでおくべき日常ということになる。

逆もある。低〜中間設定と思われる台でも差枚+2000枚程度ならそこそこ出ることがある。ジャグラーはスマスロのような荒い台ではないが、それでも低設定の上振れはそれくらいのことを平気でやってくる。

つまりこうなる。

設定は見えない。そのうえ、結果は設定にすら従わない(短期では)。

昨日と同じ打ち方なのに、なぜ今日は負けるのか

ここまでの話が積み重なると、一つの深刻な帰結が生まれる。

ジャグラーは、経験から学びにくいゲームだということだ。

何かが上達するには「答え合わせ」が要る。練習して、結果を見て、修正する。ところがジャグラーでは、根拠のない台に座った日に大勝ちし、完璧な根拠で座った日に大負けする、ということが普通に起こる。

間違った行動が報われ、正しい行動が罰される。こんな環境では、1日単位の結果をいくら振り返っても正しい教訓は出てこない。

追い打ちをかけるのが、ジャグラーには設定の確定演出が存在しないことだ。

スマスロこのすば 虹トロフィー 設定6

一部のノーマルタイプやAT機なら、確定画面が出れば「あの立ち回りで6を掴めた」と答え合わせができる。ジャグラーで閉店後にできるのは、「勝ったうえにREGもついてきたから、多分高設定だった」「負けたしREGも来なかったから、多分低設定だった」という推測までで、本当の答えは永遠にホールの中にしかない。

つまり我々は、自分の推測で作った答案用紙で自分の一日を採点している。答え合わせと呼んでいるその作業が、そもそも答え合わせになっていないのだ。

昨日と同じ打ち方をして今日負けたとき、変わったのはあなたの腕ではない。サイコロの目が変わっただけだ。

だから、何年打っても上手くならない人がいる。本人の頭が悪いのではない。勝った日のやり方を「正解」として学習し、負けた日のやり方を「失敗」として捨てる。学習として完全に正しいその姿勢が、このゲームではノイズを教材にしてしまうからだ。

ただし誤解しないでほしい。これは株(デイトレ)のテクニカルのように、覚えた手法そのものが時代とともに無効化される話ではない(別記事で書いた通りだ)。

ジャグラーで動くのは的ではなくサイコロの目の方で、REGを数え事前確率を組むという作法自体は、機種が変わっても持ち越せる。腕が通用しないのではなく、その腕を使っても1日の結果は運が握っている、というだけの話だ。

正しい判断と良い結果は別物だ。答え合わせに使っていいのは、1日の勝ち負けではなく、同じルールで100回繰り返したときにトータルで浮くかどうか。これだけは何度でも書く。

上手い人ほど深みにはまる店がある

ここで、少し嫌な話をする。

中間設定ばかり撒く店では、設定判別の知識がむしろ裏目に出ることがある。

何も知らない人は出なければ飽きて帰る。ところが知識のある人は、REG確率を見て「悪くない」ことに気づいてしまう。気づくから粘る根拠ができてしまう。結果、機械割100%前後の台に、誰よりも長く座り続けることになる。

知識が滞在時間を延ばし、滞在時間が負けを深くする。前回書いた「店選び」が台選びより先に来る理由がここにもある。どの池で竿を出すかを間違えると、腕の良さが逆向きに働くのだ(この構造は店の設定配分の記事で詳しく書いた)。

それでも数えるなら何を数えるか

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ここまでの話を「じゃあ数えても無駄なのか」と受け取らないでほしい。数える価値のあるものは、ちゃんとある。少ないだけだ。

答えはシンプルで、主役は合算REG、ペカった回数だけだ。メーカーが公表している確定値とそのまま見比べられるし、何より数え間違いのしようがない。

脇役を一つ加えるならブドウだが、使い方にコツがある。序盤は数えるだけで信じない。ブドウが頼れる精度に育つのは数千回転を超えてからで、基本は終盤にREGから立てた推測の裏取り役として使う(設定別のブドウ確率が公表値ではなく推定値である点も頭の片隅に)。

そして一つだけ大事な注意を。「REGは悪いがブドウは良いから続行」は根拠にならない。低設定の上振れでいくらでも起こるからだ。主役の判断を脇役が覆してはいけない。

情報は少なくていい。確実なものを、シンプルに使う。台の上の工夫を増やすより、その方がよほど収支に効く。

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ジャグラーのブドウを信じて高設定を捨てる確率|序盤のブドウはどこまで参考になる?
ジャグラーの序盤のブドウの信頼度は?どこまで設定判別に使える?本物の設定6がブドウで設定1以下に見える確率は500Gで33%、1000Gでも4回に1回。二項分布とベイズ推定で、ブドウを信じて高設定を捨てる確率と参考になり始めるゲーム数を計算した。
【ジャグラー】ブドウの数え漏れで設定判別の精度はどれくらい落ちる?
ジャグラーのブドウカウントは数え漏れ1%で判別価値の4分の3が消え、2%なら数えない方がマシになる。境界線は1日20個弱の数え間違いで、普通の集中力の揺らぎの範囲内。それでも数える意味はあるのかまで計算した。
【マイジャグ】チェリーは設定判別に使えるか|数えるなら非重複チェリー、条件は3つ
マイジャグラーのチェリーで分かるのは「設定1・2か、設定4以上か」の一問だけ。設定4と6は完全に同じ値で区別できない。数えるのは非重複チェリーで、全部数えると設定1の台まで高設定に見える。Z値で検証した。

まとめ:台の上で分かることは思っているより少ない

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整理しよう。

台の上で確実に分かるのは、ペカった回数くらいのものだ。そこから設定を推測することはできるが、実践の勝負どころである中間の見分けはほぼ利かず、しかも短期の結果は設定にすら従わない。「回せば分かる」は、思っているよりずっと弱い武器なのだ。

だからこそ、判断の主役は台の上のデータではなく、座る前の根拠になる。データは「根拠を補強する材料」であって、ゼロから答えを教えてくれる先生ではない。

さて、これで店の壁と台の壁を見てきた。残るは最後にして最大の壁、「自分自身」だ。

設定も分からない、結果もブレる。そんな霧の中で、人間はいつ席を立てばいいのか。実はジャグラーというゲームには、その答えがどこにも書かれていない。そして書かれていないその空白に、あなたの性格が流れ込む。

次回、最終回。「やめどきが分からないのは、あなたのせいではない」という話をする。

ジャグラーのやめどきが難しい理由|出口が書かれていないゲーム
ジャグラーのやめどきが難しいのは意志が弱いからではない。仕様に出口が書かれていないゲームでは、プロスペクト理論通りに人は負ける側へ着地する。記憶と記録の歪みまで含めて解説。連載最終回。

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ジャグラー
『パチスロスタッツラボ』管理人
けも太

パチスロ歴25年以上の田舎住みスロッター。
好きな機種はノーマルタイプやA+ARTなどリアルボーナス搭載台。
好きなメーカーはサミーやユニバ、4号機時代は山佐も。
立ち回りは高設定狙いオンリーのハイエナ嫌い。
趣味はデータ分析(主に野球)、プログラミング、株式投資、翻訳、絵を描くこと。
稼働は大体月6回。気が向いた時に書く気ままなブログです。

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