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【ジャグラー】ブドウの数え漏れで設定判別の精度はどれくらい落ちる?

数年前、私は一度、ジャグラーのブドウカウントをやめたことがある。

そして面白いことに、やめてからの方が設定推測の精度が上がった気がした。

判別の武器を一つ捨てたのに精度が上がる。当時は少し不思議な感覚だったが、今なら理由をある程度説明できる。

前回の記事(ブドウを信じて高設定を捨てる確率)では、序盤のブドウを信じて見切ると、本物の設定6を3回に1回捨てるという計算をした。ただ、あの話には一つ大事な前提があった。「ブドウが正確に数えられていること」だ。

今回はその前提そのものを疑う。つまり、「数え漏れ」の話だ。

先に数字を二つだけ出しておく。

数え漏れ1%、およそ570Gに1個の見逃しで、カウントが設定推測にもたらす上乗せは4分の3が消える。そして約1.3%、1日にして20個弱の見逃しで、そのカウントは「数えなかった」のと同じ価値になる。

ゲーム数が解決する誤差と、しない誤差

統計の誤差には2種類ある。

一つはランダム誤差。引きのブレだ。これはゲーム数が解決してくれる。500Gのブドウはアテにならないが、8000G回せばかなり真の値に近づく。前回扱ったのはこちらだった。

もう一つが系統誤差。測り方そのものが一方向にズレている誤差だ。ブドウで言えば数え漏れがこれにあたる。存在しないブドウを数えることはまずないが、揃ったブドウを取り逃すことはある。

つまり漏れは常に「実際より悪く見える」方向にしか働かない。そして、ゲーム数が解決してくれない。どれだけ回しても、ズレはズレのまま残る。

理屈はこれだけだ。問題は、この理屈がどの程度の実害になるかで、それは漏れ率の現実的な水準に依存する。まずそこから確認したい。

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前提: ブドウの設定差はもともと4%しかない

マイジャグ5 ブドウ

計算に使うデータを先に示す。機種は設定差が段階的で、ブドウが最も判別に「使える」とされるマイジャグラー5だ。

設定 ブドウ確率
1 1/5.90
2 1/5.85
3 1/5.80
4 1/5.78
5 1/5.76
6 1/5.66

※ブドウ確率はガリぞう氏調査に基づく推定値

注目してほしいのは、設定1と設定6の差の小ささだ。確率にして約4%。1000G回してブドウの期待個数は設定1で約169個、設定6で約177個。その差はわずか8個しかない。

この「もともと4%しかない差」を、人間のカウントで検出しようというのがブドウ判別だ。だから、検出したい差に対して自分の数え漏れが何%あるのかが、そのまま勝負になる。

現実の数え漏れは何%くらいか

ブドウは揃えば払い出しがあり、音も出る。真剣に数えていれば、そうそう取り逃すものではない。実際の漏れの発生源は、突き詰めればこの3つだろう。

  • よそ見。
  • 疲労と眠気による集中切れ。
  • カウンターの押しミス・押し忘れ

私の実感では、数え慣れた人の漏れはせいぜい0.3〜1%。1日打ち切って数個から十数個の世界だ。漏れ2%、つまり1日で30個近く取り逃すのは、正直かなり集中が切れている部類だと思う。

それ以上、たとえば100Gに1個ペースで見逃すような状態(漏れ5%超)は、もはやカウントしているとは呼べないので論外とする。

漏れ率をゲーム数に読み替えると、目安はこうなる。

  • 漏れ0.5% = 約1100Gに1個の見逃し(1日7個)
  • 漏れ1% = 約570Gに1個(1日14個)
  • 漏れ2% = 約280Gに1個(1日28個)

つまりこの記事で問うのは、「雑に数えたらどうなるか」ではない。ちゃんと数えているつもりの人に乗る、ごくわずかな漏れがどこまで許されるか、だ。

漏れ2%で、設定6は設定4の顔になる

では、漏れ率別に「見かけのブドウ確率」がどうズレるかを見てみよう。

真の設定 正確 漏れ0.5% 漏れ1% 漏れ2%
1 1/5.90 1/5.93 1/5.96 1/6.02
2 1/5.85 1/5.88 1/5.91 1/5.97
3 1/5.80 1/5.83 1/5.86 1/5.92
4 1/5.78 1/5.81 1/5.84 1/5.90
5 1/5.76 1/5.79 1/5.82 1/5.88
6 1/5.66 1/5.69 1/5.72 1/5.78

まず漏れ1%の行き先を見てほしい。設定6の見かけは1/5.72。真の設定6(1/5.66)と設定5(1/5.76)の間、それもすでに設定5寄りで、この時点で設定6のブドウは設定5の顔をし始めている。

漏れ2%ならもっとはっきりする。設定6の見かけは1/5.78で、これは設定4の真の値と完全に同じ。そして設定4の見かけは1/5.90、こちらは設定1の真の値と一致する。1日28個の見逃しで、盤面全体が二段ずつ下にスライドする。

設定差の全レンジが4%しかないのだから当然の帰結ではある。漏れ1%は設定1と設定6の差の4分の1を食う。漏れ2%なら半分だ。

漏れは運のブレに隠れて見えない

「そんなにズレているなら、打っていて気づくのでは」と思うかもしれない。しかし気づけない。ここが系統誤差の一番厄介なところだ。

漏れ1%が作るズレは、分母にして0.06(5.66→5.72)。一方、1日8000G回した時のブドウ実測値には、引きのブレだけで±0.15程度の揺れが普通に乗る。ズレはブレの中に完全に埋もれていて、1日の実測値から自分の漏れに気づくことは計算上まず不可能だ。

では長く打てば気づけるかというと、それも無理。日をまたげば座る台も設定も変わるから、実測値を足し合わせても意味がない。そしてもっと根本的に、あなたは目の前の台の真のブドウ確率を知らない。ズレの検出には正解との照合が必要なのに、その正解を教えてくれる人はどこにもいないのだ。

ブドウの数え漏れ1%があると、実測値は8000ゲーム回しても見かけの実力1/5.72に収束し、真の実力1/5.66には戻らないことを示すシミュレーション図

ただし、気づけないことと無害であることは違う。運のブレは上下対称で、今日は上に、明日は下に振れて長期では消える。漏れは毎日、必ず、悪い方向にだけ働いて消えない。

実害は前回と同じ問いで測れる。本物の設定6の台で、実測のブドウが「設定1水準(1/5.90)以下」に見えてしまう確率だ。

通常時G数 漏れ0% 漏れ0.5% 漏れ1% 漏れ2%
500G 33.0% 34.9% 36.8% 40.8%
1000G 27.8% 30.3% 32.9% 38.3%
3000G 15.1% 18.3% 21.8% 30.0%
5000G 9.1% 12.1% 15.7% 24.9%
8000G 4.4% 6.7% 9.8% 19.1%

※二項分布による正確計算。漏れ0%の列は前回の記事と同じ数字

どの列もゲーム数とともに下がってはいくが、下がり方が違う。

完璧に数えた場合、8000Gで見間違いは4.4%まで潰れる。漏れ1%だと9.8%で2倍以上。漏れ2%なら19.1%、4倍超だ。8000G数え切ってなお、本物の設定6が5回に1回は設定1以下の顔をして現れる。

前回「終盤のブドウは頼りになる」と書いた。あれは正確に数えられている場合の話で、その信頼性は漏れ1%で半減し、2%で崩れ始める。

数え漏れの損益分岐は約1.3%

最後の検証だ。漏れたカウント値を設定推測に組み込むと、判断はどれだけ歪むのか。

シナリオはこうだ。イベント日、幸運にも本物の設定6に朝イチから座れたとする。REGは終日きっちり設定6ペース(1/229.1)でついてきてくれた。その上で、ブドウの数え方だけを変えたときの「設定5・6合計の事後確率」をベイズ推定で比較する。

G数 ブドウ無視 正確 漏れ0.5% 漏れ1% 漏れ2%
3000G 38.4% 42.4% 41.2% 40.1% 37.8%
5000G 49.2% 54.7% 52.9% 51.1% 47.6%
8000G 60.9% 67.5% 65.0% 62.5% 57.7%

※事前確率はイベント日配分(設定1〜6の順に10/40/10/20/13/7%)で、粘りとやめどき記事と同じ。REGは常にちょうど設定6ペース、ブドウは常にちょうど見かけ値で推移すると固定した理想化計算(回数は小数のまま扱っている)。実際の値はこの表の周りを上下する。REG確率はメーカー公表値(確定値)、ブドウ確率は前述の推定値

本命は8000Gの行だ。

正確に数え切れた場合、ブドウはちゃんと仕事をする。無視した場合の60.9%を67.5%まで、6.6ポイント押し上げてくれる。これが「終盤のブドウは裏取り役」の正体で、完璧に数え切れる人にとってこの価値は本物だ。

問題は、この6.6ポイントの消え方である。

漏れ0.5%で上乗せは4.1ポイント。まだ6割は残る。1日7個の見逃しならカウントの価値はおおむね守られる。

漏れ1%で上乗せは1.6ポイント。4分の3が消えた。570Gに1個の見逃しで、終日の集計作業のリターンはここまで細る。

そして漏れ2%では57.7%。無視した場合を下回る。数えなかった方がマシだった、ということだ。

この計算の条件で損益分岐を探すと、漏れ率約1.3%だった。8000Gのブドウ約1400個のうち、見逃しが20個弱を超えたあたりで、手元にあるのは「数えなかった場合より悪い判断材料」になる。時速800Gなら、1時間あたり2個の見逃しでもう境界線だ。

なお、この損益分岐は高設定に座れた日のシナリオで出した数字だ。低設定の日は、漏れで実際より悪く見えたところで撤退の後押しにしかならず、実害は小さい。漏れが牙をむくのは高設定を掴んだ日、つまりカウントが一番仕事をするべき日に限られる。だからこそ性質が悪い。

整理しよう。集中して数える人の漏れは0.3〜1%、緩んだ日で2%。損益分岐は約1.3%。この崖は異常な打ち方の先ではなく、普通の集中力の揺らぎの範囲内にある。同じ「数える」という行為が、その日のコンディション一つで価値にも害にもなるのだ。

そもそも比べる相手も推定値

ここまで意図的に触れなかったが、根本的な問題がもう一つある。

比較対象にしている「設定6は1/5.66」という物差し自体が、メーカー公表値ではなく調査に基づく推定値だということだ。以前の記事で書いた通り、この種の推定値はソースによって微妙に異なり、そのわずかなズレが判別力を無視できない幅で動かす。

つまりブドウ判別とは、推定値の物差しに、自分の系統誤差が乗ったカウント値を当てる行為だ。REGとの信頼性の差は、確率の差だけではなく、データの素性の差でもある。

それでもブドウを数えるべきか

ここまでの数字を素直に読めば、結論は「数えない方がいい」に傾くだろう。だが、私の実際の結論はもう少しだけ複雑だ。順を追って書く。

数える資格には二つの条件がある

今回と前回の計算を合わせると、ブドウカウントが価値を持つ条件は二つに絞られる。

一つ、正確に数え切れること。

目安は漏れ1%以内、1日の見逃し十数個まで。誤解のないように言うと、これは「ながら打ちでは無理」という話ではない。それなりに経験を積んだ打ち手なら、スマホで漫画を読みながらチェリーを狙い、ブドウを抜き、最短でボーナスを揃え、無意識にブドウの数を刻むところまで到達する。

私自身がそうで、要は慣れの世界だ。ただし、何年打ってもここに到達しない人も確実にいる。適性の差は残酷なほどあって、大事なのは自分がどちら側なのかを見誤らないことだと思う。

では、どうやって見誤らずに済むか。正直に言えば、ジャグラーアプリで数千G回して自分の漏れ率を測る、なんて手間をかける人はまずいないだろう。

現実的にできるのは、実践中に漏れの発生源を現行犯で押さえることくらいだ。

漏れ率そのものは統計からは見えないが、よそ見していた時間、眠かった時間帯、「あれ、今押したっけ」と怪しんだ回数なら、その場でなら自覚できる。境界線は1時間に見逃し2個。押したか怪しい瞬間が1時間に何度もあった日のカウント値は、もう信用しない方がいい。

自分の集中を疑いながら数える人と、無条件に自分を信じて数える人とでは、同じカウント値でも重みがまるで違う。

二つ、序盤の数字を信じない規律を守れること。

どれだけ正確に数えても序盤のブドウはただのノイズで、見切りに使えば本物の設定6を3回に1回捨てる。逆に「REGは悪いがブドウは良い」も続行の根拠にはならない。詳しくは前回の記事の通りだ。

正確さと規律。どちらかが欠けるなら、カウントは精度を上げるどころか下げる。そして、1本丸ごと使って数え漏れの話をしてきた記事で白状するのも妙だが、かつての私に欠けていたのは正確さの方ではなかった。

私はやめる理由を欲しがるタイプの打ち手だ。特に根拠の弱い台選びをしてしまった日、ボーナスが思うように当たらない時間帯に、悪いブドウは格好の「やめていい証明書」になった。

数字自体は正確に取れていた。使い方が間違っていたのだ。序盤のノイズを撤退の免罪符として振り回していれば、高設定を捨てたことも一度や二度ではなかっただろう。

カウントをやめたら精度が上がった気がした、という冒頭の謎の答えはこれだ。免罪符の製造機を撤去したことで、判断が本来の主役、合算REGに戻った。数字が悪かったのではない。数字の使い手が悪かった。

何のために数えるのかを自分で言えるか

もう一つ大事なのは目的だ。私は今、カウントを再開しているが、理由を聞かれたら三つ答える。

一つ目は眠気防止。ジャグラーの通常時は暇で、数えるという作業は集中を保つ装置として普通に優秀だ。しかも皮肉なことに集中が保たれること自体が漏れ率を下げる。数えるから集中できて、集中するから数えられる。この循環に入れるなら、カウントは自分を漏れ1%以内に保つ装置にもなる。

二つ目は打ち切れた日の裏取り。正確に数え切った8000G分のブドウは、REGという主役の判断を6.6ポイント補強してくれる。ただしブドウのデータは後から遡って取れない。終盤に使いたければ、価値がまだゼロの序盤から数え始めるしかない。

だから、ブドウを数えていたのに早い段階でスパッとやめていく人を「数えた意味ないじゃん」と笑うのは筋違いだ。あれは打ち切った場合にだけ価値が出る保険を序盤から積み立てていただけで、早くやめたなら使われなかったというだけの話。掛け捨ての保険が無駄になったことを笑う人はいない。

三つ目は店の答え合わせ。8000G分のブドウとREGのセットは、今日の台の判別を超えて「この店は本当に設定を使うのか」という事前確率の更新材料になる。今日の勝ち負けではなく、明日以降どの池で釣るかに効くデータだ。

逆に言えば、この三つのどれにも当てはまらない、つまり「序盤から判断材料にするために数える」のだとしたら、今回の計算があなたの敵になる。

道具で潰せる漏れもある

勝ち勝ちくんクリア

現実的な工夫として、道具の話もしておく。

私の小役カウント遍歴だが、4号機時代は記憶orメダル積みでカウントしていた。その後、勝ち勝ちくんが出た時は「なんて便利なものが出たんだ!」と喜んだものだ。

記憶頼みのカウントは、よほど脳に余裕のある人以外には勧めない。数えること自体に集中力を食われて、肝心の漏れがかえって増える。物理ボタンのカウンターなら、揃った瞬間に指が勝手に動くところまで習慣化できる。

スマホの小役カウンターアプリも試したが、私は物理ボタンに戻った。理由は二つ。私のスマホの画面は常に他のコンテンツで塞がっているし、物理ボタンは手元を見ずに押せて、押せたかどうかが指の感触で分かる。数え間違いの少なさならやっぱり専用機だと思う。

小役カウンター カチカチ君・勝ち勝ちくん
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ただし、カウンターにも押し忘れという漏れ口は残る(二度押しで増える方向のミスもあり得るが、頻度は押し忘れに比べて無視できる水準だと思う)。道具は漏れ1%を守るための補助輪であって、集中の代わりにはならない。

数百Gのブドウで見切る人へ

最後に一応。「数百G回してブドウが悪いからやめる」立ち回りは、かつての私と同じ轍なので積極的には勧めない。ただ、ここまでの数字を知った上でなお疑わしい台に長居しない主義だと言うなら、それはその人の打ち方だ。

数字は判断材料であって、遊び方の正解を一つに決めるものではない。

まとめ

マイジャグ 赤いGOGOランプ

前回のランダム誤差は、ゲーム数が解決してくれる誤差だった。今回の系統誤差は、ゲーム数が解決してくれない誤差だ。しかも運のブレに隠れて自覚できない。その許容量は漏れ約1.3%、1日20個弱しかない。

そして、私が設定判別の柱にしている合算REGにはこの問題が構造的に存在しない。ペカってREGが揃えば1回。数え漏れのしようがないし、データカウンターが勝手に記録してくれる。誤差の入口がないという一点で、REGは他のどの要素よりも信頼できる主役であり続ける。

ブドウを数えるなとは言わない。私も数えている。ただし、漏れ1%以内で数え切る集中と、序盤は信じない規律と、何のために数えるのかという答え。この三つを持たずに数えたブドウは、あなたの一日を静かに壊す側に回るかもしれない。

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ジャグラー
『パチスロスタッツラボ』管理人
けも太

パチスロ歴25年以上の田舎住みスロッター。
好きな機種はノーマルタイプやA+ARTなどリアルボーナス搭載台。
好きなメーカーはサミーやユニバ、4号機時代は山佐も。
立ち回りは高設定狙いオンリーのハイエナ嫌い。
趣味はデータ分析(主に野球)、プログラミング、株式投資、翻訳、絵を描くこと。
稼働は大体月6回。気が向いた時に書く気ままなブログです。

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