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ジャグラーでREGばかりBIGが来ないのはなぜ?REG先行は不運ではなく構造

私の知り合いに、20年以上ノーマルタイプだけを打って生活しているプロがいる。

今はジャグラーがメインで、機械割104%以上を基準にした設定狙い。判断も立ち回りも文句のつけようがない。

その人が、いつも同じことを言う。

「自分は運が悪い。普通の人が設定4で勝てるなら、自分は5以上ないと勝てない」

そして実際、私が一緒に打つ日はたいていBIGが引き負けている。REGは設定6以上の水準なのに、BIGは設定2か3くらい。悪い日は設定1以下だ。

私自身も同じ経験を数え切れないほどしている。BIG30回、REG45回。逆だったらな、と毎回思う。

今回は、この「REGばかりでBIGが来ない」という現象を数字で分解してみたい。結論を先に書くと、その大半は引きの問題ではなく構造の問題だ。しかも後半では、そもそも「REGが良い台」の大半が設定6ではない、という話も出てくる。

BIGとREGは役割がまったく違う

まず、この2つが何をしているかを整理する。マイジャグラーVの設定6を8000G打った場合で計算した。

出玉への寄与 出玉のブレへの寄与 判別力(Z値・設定1vs6)
BIG 71% 86% 0.70
REG 29% 14% 2.09

BIGは出玉の71%とブレの86%を作るが判別力は0.70しかなく、判別力2.09のREGが作る出玉は29%にとどまるという役割のねじれを示す図

※Z値は設定の違いをどれだけ見分けられるかの指標。2.0以上で実用的、1.0未満は判別困難

注目してほしいのは、この表がきれいにねじれていることだ。

出玉の7割を作り、出玉のブレの9割近くを作っているBIGの判別力は0.70しかない。ほとんど何も語っていない。逆に判別力2.09を持つREGが作る出玉は3割にすぎない。

設定を教えてくれる指標と、収支を決める指標が、別々になっている。

理由は設定差の大きさだ。

設定1 設定6 差
BIG 1/273.1 1/229.1 +19%
REG 1/409.6 1/229.1 +79%

BIGの設定差はREGの4分の1しかない。だからサンプルをいくら集めても、BIGからは設定が見えてこない。

【ジャグラー】設定差の大きい単独レギュラーを分けて設定判別する意味はある?
ジャグラーの単独レギュラーを分けて数えても、設定4以上の確率は1ポイントしか動かない。金額にすれば月100円ちょい。しかも目押しミスが2割あれば符号が逆転し、合算REGだけを見るより悪くなる。Z値とベイズ推定で検証した。

設定6でもBIGは普通に「設定1以下」に見える

設定差が小さいということは、見かけが荒れるということでもある。

まずは理想的なケース、つまり本当に設定6を掴んでいた場合で見てみたい。(実際にはそうでない可能性が高いのだが、それは次の章で扱う)

BIGが設定1水準以下に見える確率 REGが設定1水準以下に見える確率
設定6を8000G 18.1% 0.2%

BIGは5日に1回「設定1以下」に見える。REGは500日に1回しか見えない。

設定6・8000GのBIGの95%範囲は1/172〜1/343だ。設定1の1/273.1どころか、それよりはるかに悪い領域まで日常的に入ってくる。

つまり「REGは設定6なのにBIGは設定2」というのは、設定6の日常の姿だということになる。異常でも不運でもない。

ここで、もう一段おかしなことが起きている。

設定6ではBIGもREGも1/229.1で、期待回数は同じ34.9回だ。だからREGがBIGを上回る日は47.6%、ほぼ半分ある。分布としては完全に対称なのだ。

にもかかわらず体感が非対称になるのは、同じ回数を読み取る目盛りの幅が違うからだ。

設定1から設定6までの幅 1日の揺れ(標準偏差)
BIG 29.3回 → 34.9回(5.6回) ±5.9回
REG 19.5回 → 34.9回(15.4回) ±5.9回

※±は標準偏差。約3分の1の日は、この外に出る(設定6・8000Gで35.2%、2.8日に1回) 

BIGは設定1から6までの全幅が1日の標準的な揺れより狭い。しかもその揺れを超える日が3日に1回ある。だから偶然だけで設定1から設定6まで端から端まで動いてしまう。

REGは全幅が標準偏差の2.6倍あるので、同じ揺れでも2段階程度しか動かない。

同じ大きさの偶然が、BIGでは「設定1」と読まれ、REGでは誤差のうちに収まる。 荒れているのは引きではなく、目盛りの方だ。

この揺れをもう少し広く取って、20回に19回が収まる範囲で描くとこうなる。

設定6を8000G打ったときの当選回数の範囲はBIGもREGも23〜47回で同じだが、設定1の水準がBIGでは範囲の内側に、REGでは範囲の外側にあることを示す図

しかも、ただ上回るだけでなく、大きく差がつく日もそれなりにある。設定6を8000G打ったとき、REGがBIGより何回多くなるかを見てみよう。

確率 頻度
REGがBIGより5回以上多い 29.5% 3日に1回
REGがBIGより10回以上多い 12.7% 8日に1回
REGがBIGより15回以上多い 4.1% 24日に1回

設定6を打っていても、8日に1回はREGが10回以上先行する。

ちなみにBIG240枚・REG96枚で計算すると、BIG30回・REG45回のボーナス獲得枚数は11520枚、逆のBIG45回・REG30回なら13680枚になる。

ただしこれは通常時の減りを含まないボーナス分だけの数字なので、収支そのものではない。意味があるのは差の2160枚、約4万円の方だ。「逆だったら」と思うのは当然で、実際にそれだけ損をしている。

REGが良い台は平均すると設定6ではない

ここからがもう一段深い話になる。

「REGが設定6水準だから続行」という判断は正しい。だがその台が本当に設定6である確率は、思っているより低い。

理由は選び方にある。私たちはREGを見て台を選んでいる。ということは、選ばれた台のREGは上振れした台が混じった状態になっている。設定4でREGだけ良く出た台は選ばれ、設定6でREGが沈んだ台は選ばれない。

そしてBIGには、この選抜がかかっていない。REGで選ぶ限り、選んだ台のREGは平均して上振れ側に偏るし、BIGはそれについてこない。 これは引きの問題ではなく、選んだ瞬間に決まっている。

では、REGがちょうど設定6水準だった台の中身を計算してみる。

前提はイベント日の設定配分、設定1から順に10/40/10/20/13/7%だ。粘りとやめどきの記事で使ったものと同じものになる。通常営業の日はこれよりずっと厳しい配分になるので結論も変わる。

到達G数 設定6である確率 設定56合計 実際のBIG期待回数 設定6だった場合
3000G 15% 38% 11.9回 13.1回
5000G 20% 49% 20.2回 21.8回
8000G 27% 61% 32.9回 34.9回

※これはイベント日を想定した場合の数字だ。設定配分が変われば結果も変わる。通常営業の日なら、同じREGを見ても設定6率はもっと低く出る。

8000G回してREGが設定6の理論値ぴったりでも、設定6である確率は27%でしかない。設定4が32%、設定5が33%を占めている。

だからBIGの期待値は1/243であって、1/229.1ではない。

「REGは設定6なのにBIGが1/243」は、下振れではなく理論値そのものだ。

REGが良く見える台の中には、本当に設定が高い台と、中間設定でREGだけ上振れた台が混ざっている。そして後者のBIGは、当然その設定なりの数字しか出ない。

「REGだけついてBIGが来ない」の相当部分は、ここで説明がついてしまう。

正しい立ち回りが記憶を偏らせている

もうひとつ、見落としやすい仕組みがある。

「REGは良いけどBIGが来ない」ばかり記憶に残って、逆のパターンをあまり覚えていないと感じたことはないだろうか。私はある。

理由は単純で、逆のパターンでは席を立っているからだ。

台の状態 打ち手の行動 手元に残る経験
REG良い・BIG悪い 終日打つ(REGが柱なので降りられない) 8000G分まるごと
BIG良い・REG悪い 早めに見切って勝ち逃げ 2000G分だけ

REGが設定6水準なら、BIGがどれだけ悪くても降りる理由がない。降りたら判断基準を裏切ることになる。だから丸一日、BIGが来ないのを見続けることになる。

逆にBIGだけ良くてREGが悪い台は、それなりの打ち手なら早い段階で切る。しかもそういう日はプラスで終わることが多いので、記憶にも残りにくい。

アイムジャグラー big先行台

判断基準が正しく機能していること自体が、「REGばかりでBIGが来ない」という記憶を積み上げている。

これは立ち回りの欠陥ではない。正しいルールを守った副作用だ。

20年打っても引きで3%は動かない

冒頭のプロの話に戻る。

「普通の人が設定4で勝てるなら自分は5以上ないと」という感覚は、20年分の実績から出ているのだろうか。計算してみた。

20年(年250日・1日8000G)の総投入 1.20億枚
差枚の揺れ(標準偏差) ±109602枚
機械割の測定誤差 ±0.091%

仮に20年間ずっと同じ機械割で打ち続けたとすると、その人の機械割は0.09%の精度で確定する計算になる。

設定4と設定5の機械割の差は3.0%だ。0.09%の誤差しかない世界で、3.0%のズレが引きによって生じることは絶対にない。仮にこの差を2%と見積もっても、結論は変わらない。

引きではない。では何なのか。可能性は2つある。

ひとつは、BIGの見え方だ。判別力0.70の指標を20年見続ければ、運が悪いと感じるのが自然になる。日々の「BIGが引けてない」という体感は、ここまで見てきた通りこれで説明がつく。

もうひとつは、設定推定が楽観側にずれているという可能性だ。設定4だと思って座った台の平均が、実は設定3だった。この場合、実収支は本当に想定より低い。ただし原因は引きではなく、見積もりの方にある。

むしろ20年のあいだに号機も機種も店も変わっているので、推定のクセがずっと一定である方が不自然かもしれない。

そしてこちらだとすると、「自分は5以上ないと勝てない」は錯覚ではなくなる。20年かけて自分の推定のクセを実測で見つけ、その分だけ基準を上げて運用しているということになるからだ。20年立ち回りを変えていないのは、補正をとっくに織り込み済みだからだとも読める。

どちらなのかは、外からは分からない。ただ、どちらであっても結論は同じになる。運のせいではない。 そして運のせいでない以上、対処できる場所がある。

苛立ちは正しい。そこから出る行動が間違っている

ここが一番大事なところになる。

BIGが引けないことに腹が立つのは正常な反応だ。出玉の71%を作っている指標なのだから、実際に損をしている。気のせいではない。

問題はその次で、こう考えてしまうことがある。

「REGは少ないけどBIGがすごく良い。この台は出たがっている」

この観察自体は正しい。BIGが良ければ実際に出玉は伸びるし、グラフも上を向く。目の前の事実として間違っていない。

間違っているのは、それが「未来を予測する」と考える部分だけだ。

そしてここで立ち回りを変えると、判別力2.09の指標を捨てて、0.70の指標に乗り換えることになる。 苛立ちが正しくても、そこから出てくる行動は正しくない。

別の記事で、収束は判別に使っていいが粘りに使ってはいけない、と書いた。ここで起きているのはまさにそれだ。REGを見て続行を決めるのは診断だが、BIGに「そろそろ来る」を期待するのは粘りの理屈になる。同じ台の同じ数字を見ていても、使い方が違えば正反対になる。

厄介なのは、感情を供給するのが判断に使えない方の指標だということだ。BIGは設定について何も語らないが、収支については雄弁に語る。だから見てしまうし、良い悪いの感情が湧く。REGはその逆で、設定を語るが収支を語らないので、感情が動きにくい。

では、その「出たがっている」という感覚は本当に間違いなのだろうか。

「BIGが良いから出たがっている」が正しいのか間違っているのか、本当のところは誰にも分からない。台の中身はブラックボックスだからだ。

だが、正誤を判定しなくても結論は出る。再現性があるかどうかで足りる。

  • 「BIGが良いから流れがいい」→ 次に同じ状況で同じ行動を取ったとき、同じ結果になるか検証できない
  • 「REGが設定6水準だから続行」→ 検証できる。しかも判別力2.09という数字がついている

安定して勝つために必要なのは再現性だ。オカルトが間違っているのではなく、再現性がないので勝ち方として使えない。それだけのことだと私は思う。

「釘や設定は関係ない」「引きが全て」を数字で検証
「釘や設定は関係ない、引きが全て」は本当か。勝率が測っているのは荒さであって、店に取られる割合ではない。設定6でも勝率約6割といわれているスマスロSAO2を例に、設定不要の根拠にならない理由を数字で確かめる。

できるのは座る前の根拠を上げることだけ

ここまで見てきた通り、BIGの引き負けに対して台の上でできることは何もない。

ではどうするか。ひとつだけ動かせる場所がある。

先ほどのベイズ計算をもう一度見てほしい。8000GでREGが設定6水準だった台の設定6率は27%だった。あれはイベント日の設定配分を前提に出した数字だ。

通常営業の日、つまり設定1〜3が大半を占める日に同じREGを見ても、結論はまったく違う。同じ数字を見ているのに答えが変わる。

REGという柱がどれだけ立派でも、乗っている土台が違えば別の台になる。

台の上の数字にできるのは、座る前に決まっていた確率を更新することだけだ。元が低ければ、いくら良い数字が出ても大きくは上がらない。

だから結局、どの店の、どの日に、どの機種の、どの台に座ったのか。その根拠がすべてになる。台の上より台に座る前、というのはそういう意味だと思っている。

ジャグラーで勝てないのは腕のせい?勝負は座る前に終わっている
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【店選び】ジャグラーで勝てる店はどっち?メリハリ型と遊ばせる型を数字で検証
ジャグラーで勝つには低設定or設定56の「メリハリ型」と中間設定メインの「遊ばせる型」どちらの店を選ぶべきか。設定判別あり・なしを3万日シミュレーションで比較し、中間設定(設定3・4)が招く判別の罠を個人・軍団の両視点から数字で検証。

最後に

ネオアイムジャグラー REG先行

あのプロは、20年間ずっと「運が悪い」と言い続けながら、淡々と打っている。立ち回りを変えたところを見たことがない。

運が良いからでも、達観しているからでもないと思う。BIGの見た目が何も語っていないことも、自分の推定にクセがあることも、20年かけて体で覚えたからだ。

そして念のため書いておくと、REGが良い台を選んでBIGがついてこずに負ける、というのは本当によく起こる。私も年に何度も食らう。判断が正しくても負けるときは負ける。

それでも判断は変えない。正しい判断と良い結果は別物だからだ。

BIGが引けなかった日は腹を立てていい。ただ、そこから台選びの基準を書き換えないでほしい。腹が立つ理由と、次に座る台を決める理由は別のところにある。

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ジャグラー
『パチスロスタッツラボ』管理人
けも太

パチスロ歴25年以上の田舎住みスロッター。
好きな機種はノーマルタイプやA+ARTなどリアルボーナス搭載台。
好きなメーカーはサミーやユニバ、4号機時代は山佐も。
立ち回りは高設定狙いオンリーのハイエナ嫌い。
趣味はデータ分析(主に野球)、プログラミング、株式投資、翻訳、絵を描くこと。
稼働は大体月6回。気が向いた時に書く気ままなブログです。

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