先日のイベント日。良番で第3候補のマイジャグラー5を取れた喜びも束の間、待っていたのは800回転ノーボーナスという地獄だった。
20台以上あるマイジャグの島で当たっていないのは自分だけ。天国から地獄とはまさにこのことだ。
しかし、朝一の糞ハマリは設定推測において強烈な情報を与えてくれる「材料」でもある。
今回は実際の稼働データとベイズ推定を使って、朝一の大ハマリが高設定の可能性をどれだけ下げるのかを検証してみた。そしてイベント日の見切り判断について3つの視点から考えてみたい。
800Gノーボーナスで設定56の可能性はどうなるか

各設定で800Gハマリが起きる確率
まず、マイジャグ5の各設定で朝一から800Gノーボーナスがどれくらいの確率で起きるのかを見てみよう。
| 設定 | マイジャグ5ボーナス合算 | 800Gハマリの確率 |
|---|---|---|
| 1 | 1/163.8 | 0.75% |
| 2 | 1/159.1 | 0.64% |
| 3 | 1/148.6 | 0.45% |
| 4 | 1/135.4 | 0.27% |
| 5 | 1/126.8 | 0.18% |
| 6 | 1/114.6 | 0.09% |
どの設定でも1%以下の珍しい事象だが、高設定ほど起きにくい。設定1と設定6では約8倍の差がある。この差がベイズ推定で効いてくる。
イベント日の事前確率と800Gハマリ後の事後確率
以前の記事で紹介した通り、設定判別の出発点は事前確率だ。ここでは優良店の強イベント日の想定(設定56合計20%)で計算してみる。

| 設定 | 事前確率 | 800G後の事後確率 |
|---|---|---|
| 1 | 10.0% | 16.2% |
| 2 | 40.0% | 55.9% |
| 3 | 10.0% | 9.8% |
| 4 | 20.0% | 11.6% |
| 5 | 13.0% | 5.0% |
| 6 | 7.0% | 1.4% |
設定56の合計:20.0% → 6.4%
高還元のイベント日で20%あった設定56の可能性が、わずか800Gで6.4%まで落ちる。約3分の1だ。設定6に至っては7%から1.4%。ほぼ消えたと言っていい。
代わりに設定2の確率が40%から56%に跳ね上がる。事前確率を高めに設定していたことも影響して「たぶん設定2」という台になってしまった。
ちなみに、キリのいい1000Gまでハマれば設定56は4.7%、事前確率からの下落率は76%に達する
朝一ノーボーナス、何ゲームで見切るべきか
800Gだけでなく、100G刻みでノーボーナスが続いた場合の設定56確率と期待機械割を一覧にしてみた。
イベント日(設定56合計20%想定)
| ハマリG数 | 設定56 | 設定456 | 期待機械割 |
|---|---|---|---|
| 100G | 17.6% | 36.6% | 99.92% |
| 200G | 15.4% | 33.4% | 99.70% |
| 300G | 13.4% | 30.3% | 99.51% |
| 400G | 11.6% | 27.4% | 99.33% |
| 500G | 10.1% | 24.8% | 99.16% |
| 600G | 8.7% | 22.4% | 99.02% |
| 700G | 7.5% | 20.1% | 98.89% |
| 800G | 6.4% | 18.1% | 98.77% |
| 900G | 5.5% | 16.2% | 98.67% |
| 1000G | 4.7% | 14.5% | 98.57% |
注目してほしいのは期待機械割の列だ。
イベント日の着席時点での期待機械割は100.16%。それがたった70G足らずのノーボーナスで100%を切る。
これは事前確率の100.16%がそもそもギリギリだからだ。5台に1台56というような強イベント日でも、座っただけでは実はほとんど期待値がない。
500Gを超えると設定56は10%を切り、800Gなら6.4%で期待機械割98.77%。打てば打つほどマイナスが膨らむ状態だ。
ただし、800Gや1000G程度のサンプルでは上振れ・下振れが大きく、この数字はあくまで”その時点での確率”にすぎない。最終判断は目の前の数字だけでなく多要素も含めて総合的に行うべきだ。
通常営業なら議論する意味すらない
| ハマリG数 | 設定56 | 設定456 | 期待機械割 |
|---|---|---|---|
| 100G | 2.1% | 13.1% | 98.47% |
| 500G | 1.1% | 8.6% | 98.23% |
| 800G | 0.7% | 6.2% | 98.10% |
| 1000G | 0.5% | 5.0% | 98.03% |
通常営業では着席時点で期待機械割が99%を切っている。
ハマリが何ゲーム続くかなんて議論する余地すらない。以前の記事で「平日はオカルト解禁」と書いたのは、こういう数字が背景にある。
後悔確率と期待機械割の関係
以前の記事では、自分なりに定義した「後悔確率」(見切った台が実は高設定だった確率)というものを見切りの判断基準にしていた。では、その後悔確率は期待機械割に換算するとどうなるのか。
マイジャグ5のイベント日で様々なパターンを網羅的に計算した結果、損益分岐点は後悔確率およそ18〜20%だった。設定56の可能性が20%を超えていれば打つ価値があり、それ以下なら打てば打つほど期待値マイナスになる。
ただし損益分岐点ギリギリでは期待機械割がほぼ100%で、残り数千G回しても期待差枚数はほぼゼロ。移動のリスクや時間のコストを考えると、実践的な撤退ラインは後悔確率5〜9%に安全マージンを持たせるのが妥当だろう。
800Gノーボーナスの後悔確率6.4%は、まさにこの撤退ライン上にある。
撤退判断の三要素:「根拠×台の情報×周囲の状況」
ここまでは数字の話だ。しかし実際の撤退判断は目の前の数字だけで決まらない。
以前の記事で書いた通り、ジャグラーで粘れるかどうかの鍵は「根拠」にある。

レギュラー先行台の記事では、「根拠+台の挙動(REGが設定差を示唆している)」の2つが揃っていたから粘れた。根拠だけで粘ったのではなく台自身が高設定の証拠を出してくれていた。
対して、800Gノーボーナスの場合は台からの情報はむしろマイナス方向。根拠だけが頼りの状態だ。こういう時に大事なのが周囲や島・店全体の状況になる。
並びで入れない店なのに隣の台がREG 1/200で推移していたら、自分の台の事前確率は下がる方向に調整すべきだし、逆に並びで入れる店で両隣が強ければ、自分の台が800Gハマっていても事前確率を上方修正できる。
私が考える撤退判断の三要素はこうだ。
- 根拠の強度:高設定確定の台なら根拠だけで粘れるが、通常のイベントでは根拠だけでは弱い
- 台の情報:REG確率など台自身が出している材料
- 周囲の状況:島全体の挙動、据え置き傾向、イベントの機種別の強度
根拠が強固でない限り、台の情報と周囲の状況がプラスに出ていなければ粘る理由は薄い。
今回の場合、台の情報はゼロ(ノーボーナス)、島は据え置き傾向。根拠だけでは支えきれない状況だった。
1488Gで撤退:数学と経験の折り合い

800Gの時点で「設定56の可能性が10%を切ったな」という意識はあった。だがすぐにはやめなかった。
経験上、設定5はそれなりにハマっても戻ってくるイメージがある(オカルト)。一回は当たりを見てから判断したいという気持ちがあった。周囲の状況もさすがに800G時点では全貌が見えない。
結局、1488GでBIG3回REG1回。REGが1488Gで1回(1/1488)というのは設定1の理論値(1/409.6)すら大きく下回る数字だ。設定56のREG確率は1/268〜1/229。サンプルは少ないが高設定を示唆する材料は何一つ出なかった。
周囲の据え置き傾向も確認でき、最終的にマイナス約900枚で撤退を決めた。撤退時の設定56確率は4.4%、期待機械割は98.53%。
振り返れば800Gノーボーナスの時点(設定56確率6.4%)でも見切れる数字だった。追加の688Gで得られた情報は2%分にすぎず、出玉もほとんど変わっていない。
ただ、イベント日に多少なりとも根拠を持って選んだ台をもう少し見たいという気持ちは完全に非合理とも言い切れない。数学と経験の折り合いをつけた結果の1488Gだった。
区間分割の計算:800Gのハマリと残りの挙動を掛け合わせる意味はあるか?
800Gノーボーナス→688GでBIG3回REG1回。
この経過情報は、単に「1488GでBIG3回REG1回」という最終結果よりも多くのことを語るのでは?と思った人はいないだろうか。
800Gの大ハマリと、その後にボーナスが固まった事実を掛け合わせれば、何か追加の判別情報が得られるのでは、と。
結論から言うと、ボーナス回数だけを見る限り、掛け合わせの効果は生まれない。
ポアソン分布(ボーナスの抽選モデル)には「加法性」という性質がある。区間をどう分割しても、最終的な合計のBIG回数とREG回数が同じなら事後確率は完全に一致するのだ。
ジャグラーは完全確率抽選だから、前のゲームの結果が次の抽選に影響しない。だからこそ「いつハマったか」は関係なく、最終的な回数だけが判別の材料になる。
ただしブドウなどの小役を区間ごとにカウントしていれば、それは独立した判別要素なので掛け合わせの意味が出てくる。もっとも800G程度ではブドウのサンプル不足で設定差を語れる精度は出ないが。

閉店データで答え合わせ
閉店後、データサイトで最終結果を確認した。
最終データ:約8000G BIG25回(1/320.0) REG22回(1/363.6)
| 項目 | 実測値 | 設定1理論値 | 設定2理論値 | 設定6理論値 |
|---|---|---|---|---|
| BIG | 1/320.0 | 1/273.1 | 1/270.8 | 1/229.1 |
| REG | 1/363.6 | 1/409.6 | 1/385.5 | 1/229.1 |
| 合算 | 1/170.2 | 1/163.8 | 1/159.1 | 1/114.5 |
8000Gという十分なサンプルで、BIGは設定1の理論値すら下回り、REGは設定2〜3の間(設定2寄り)。合算も設定1以下だ。
ベイズ推定による最終的な事後確率は以下の通り。
| 設定 | 事後確率 |
|---|---|
| 1 | 13.6% |
| 2 | 58.5% |
| 3 | 13.1% |
| 4 | 11.6% |
| 5 | 3.0% |
| 6 | 0.2% |
設定56:3.2% 期待機械割:98.60%
設定2が58.5%で最も濃厚だ。
撤退時のデータと比較してみる。
| 時点 | 設定56確率 | 期待機械割 |
|---|---|---|
| 撤退時(1488G B3R1) | 4.4% | 98.53% |
| 最終(8000G B25R22) | 3.2% | 98.60% |
1488G時点での判断が8000G回した最終結果とほぼ一致している。あの時点で十分に見切れていたことを閉店データが証明してくれた。
自分が離れた後の区間(6512G BIG22回 REG21回)だけを見ても、合算1/151.4で設定3程度の挙動にとどまっている。
私よりも引きが良いのは間違いないが、後から座った人が高設定の恩恵を強く受けたわけではない。
「見切った台が出された」という記憶のバイアス
今回は23回に1回の後悔は起きなかった。だが、もし起きていたとしても判断自体は変わらない。
人間の記憶は公平ではない。「見切った台が出された」経験は悔しさという強い感情を伴うから鮮明に残る。一方、「見切った台がやっぱり低設定だった」経験は感情を伴わず記憶に残らない。
これは確証バイアスと利用可能性ヒューリスティックの合わせ技だ。
体感では「見切ったら出される」が頻繁に起きているように感じるが、後悔確率6.4%ということは残り93.6%は「見切って正解だった」。その93.6%のことは誰も覚えていないだけだ。
だからこそ、自分を納得させる数字を目安にする。結果的に捨てた台が高設定だったとしても、確率の薄いところを引いてしまった自分の運を呪うだけでいい。
正しい判断と良い結果は別物だ。個々の結果ではなく、同じルールで100回繰り返した時にトータルでプラスになるかどうかが全てなのだ。

普通の店ではもっと厳しい現実
ここまでの計算は、設定56合計20%という優良店のイベント日を想定している。しかし世の中の大半のホールはもっと厳しい。
| 店舗タイプ | 着席時の期待機械割 | 800G後の設定56 | 800G後の期待機械割 |
|---|---|---|---|
| 厳しめの店(通常営業) | 97.86% | 0.2% | 97.66% |
| 普通の店(イベント日) | 98.43% | 1.3% | 98.01% |
| 普通の店(強イベント日) | 99.69% | 3.2% | 98.72% |
| 優良店(イベント日) | 100.16% | 6.4% | 98.77% |
※厳しめの店:設定1/2/3/4/5/6 = 40/50/5/4/0.8/0.2%
※普通の店イベント日:20/60/10/5/4/1%
※普通の店強イベント日:10/40/10/30/7/3%
優良店のイベント日以外は、着席時点で既に期待機械割が100%を切っている。普通の店の強イベント日でさえ99.69%。
座った瞬間から期待値マイナスだ。800Gハマリ以前に、そもそも自分が通っている店で打つ意味があるのかという問いに向き合う必要がある。

AT機優遇・ノーマル冷遇という構造
さらに最近、イベント日の還元がAT機に偏り、ノーマルタイプの扱いが薄くなっている店が増えてきた。
店側の狙いは明確だ。AT機はハマれば一撃で数万飲まれるから回収力が高い。イベントで高設定を見せて成功体験を植え付け、平日にも座らせたい。限られた還元予算をAT機に振りたくなるのは当然だろう。
しかし今の客はその仕組みを理解している。イベント日だけ打って平日は来ない。店が期待する「イベントで勝つ→平日も来る→平日に回収」というサイクルは成立しなくなっている。そのしわ寄せがノーマル主体の打ち手に来ているのが現状だ。
「これまでは強イベント寄りだと思って行ったが、ノーマルに関しては普通のイベント程度だった」。こうなると事前確率の設定自体が甘くなり、粘るべきでない台に粘ってしまう。
イベントの強度は店全体ではなく、機種ジャンルごとに評価する必要がある時代なのだ。
2時間で帰るという選択
1488Gで撤退した後、私はすぐに家に帰った。朝から並んでたった2時間で帰宅だ。
若い頃は「朝早起きして並んだんだから手ぶらでは帰れない」と思い、一発目を外した後に無理をして傷を広げたことも少なくない。典型的なサンクコスト効果だ。

しかしノーマルタイプの高設定狙いにおいては、一発目を外した時点で勝率はかなり下がる。残りの台から当たりを見つけるのは簡単ではないし、無理に探せば根拠の薄い台に座ることになる。
それなら家に帰って積読を消化したり、絵を描いたり、メダカの水槽をきれいにする方がいい。パチンコ店にいると時間が飛ぶように過ぎるが、家での時間はゆっくり流れる。特に中年になると時間の価値を切実に感じる。
マイナス900枚で納得して撤退し、残りの時間を有意義に使う。期待機械割98.53%の台に座り続けるより、家でメダカの世話をしている方がどう考えても合理的だ。
まとめ

朝一からの大ハマリはジャグリストなら誰でも経験する。問題はその時にどう判断するかだ。
朝一ハマリの設定推測への影響は想像以上に大きい。800Gノーボーナスで設定56の確率は事前確率から約68%、1000Gなら約76%も下落する。
周囲の人間が当たっているのに自分だけがハマっている時は惨めな気持ちになるし、「島一番の不幸者だ」なんて嘆きたくもなるが、台が設定推測の材料を与えてくれたというポジティブな考え方もできるのだ。
ノーマルタイプのやめ時は本当に難しい。100%の正解はないのだから。だからこそ、自分を納得させる数字を持っておくことが重要だと私は思う。
データや論理はただの「スタートライン」。その先にある「人間の不合理」を知る者がホールの勝ち組になれる。「合理的なつもりの養分」を卒業するための最短3時間。


